お知らせ
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作成日:2011/12/01
★ 定年はありますか? ★




 高齢者が増えている日本。元気な高齢者も多いです。

 定年の意味はなくなっているのでしょうか。


 まずは、本日の結論から  ★多忙な方はここをチェック★★↓↓

■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 定年制は長期にわたる安定的雇用の終着点として機能してきたものです。

 定年60歳、その後継続雇用で65歳の雇用が求められる中、定年イコール退職ではなくなっています。


■ 定年とは +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 定年とはその年齢に到達したことを理由に、労働契約を終了させる制度です。
 労働契約の終了についての特殊な定めが定年です。

 定年に達したときに当然に労働契約は終わります。「定年退職」です。


■ 定年制の必要性+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 企業は、長期に雇用することを前提として、正社員として若者を採用します。

 賃金は年功型にし、年齢を重ね、長く働けば働くほど賃金を上げていきます。

 そのゴールが定年退職です。退職金も支給され、円満に勤め上げて定年退職というサラリーマンのモデルがありました。

 年功による賃金処遇、昇進はどこかでストップさせなければなりません。それが定年です。賃金コストを抑制できました。

 また、定年制は高齢者を自動的に退職させ、若者の雇用促進を図る制度として機能しました。


■ 定年は違法?+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 まだまだ働く能力があるのに、定年だからと一律に雇用契約を終了させるのは問題とする意見があります。

 確かに60歳を一律の定年とすることには納得できない方も多いでしょう。が、定年までは、安定して雇用され、めったなことでは解雇されないという手厚い保障がなされてきました。

 いったん正社員として雇用されると、少しくらい勤務成績が悪かったり勤務態度が悪かったりしても、解雇することは厳しく制限されてきました。


■ 定年の男女差別は違法+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 今ではあたりまえになっている男女一律の定年ですが、かつては男女間で定年に差を設けたり、入社時に女性に「結婚または満35歳に達したときは退職とする」という念書をとったりしている会社がありました。

 日産自動車ではかつて、男子は満55歳、女子は満50歳の定年を定めていました。昭和44年1月15日に満50歳になった女性労働者が定年退職を命じられ、男女別定年制について裁判になりました。
 (定年年齢は、昭和48年4月1日に、男子60歳、女子55歳に改定)

 裁判で「企業経営上の観点から定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由は認められない。会社の就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、もっぱら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条(公序良俗)により無効である。」とされました。(最高裁昭和56年3月24日)

 現在では、男女雇用機会均等法第6条が「定年について労働者の性別を理由として差別的取り扱いをしてはならない」と定めています。


■ 法律と定年+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 労働条件の最低の基準を定めた労働基準法に定年に関する定めはありません。
 年齢の差別禁止規定はありません。

 高年齢者雇用安定法第8条で、
「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は60歳を下回ることができない」とされています。
 現在60歳定年制は強制的な義務となっています。


■ 退職の事項としての定年+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 定年年齢を就業規則に定めておけば、その年齢に達したときに、労使双方の意思表示がなくても、円満に退職となります。

 定年退職日については、

(1)満60歳に達したとき(誕生日の前日)
(2)満60歳の誕生日
(3)満60歳に達した日の属する月の末日
(4)満60歳に達した日の属する月の賃金締切日
(5)満60歳に達した日の属する年度末(3月31日)

などが考えられます。

■ 定年制の実態+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

  厚生労働省「平成20年高年齢者雇用実態調査結果」によると定年制のある事業所の割合は、73.5%です。

 定年制のある事業所のうち定年制を一律に定めている事業所割合は67.1%、職種別に定め手いる事業所割合は、4.1%となっています。

 定年年齢は、60歳と定めている事業所が82%です。

 60歳定年が圧倒的といえます。


■ 60歳からの継続雇用+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 高年齢者雇用安定法第9条は、事業主に高年齢者の65歳までの雇用確保措置を義務付けています。

 定年の引き上げ、定年の廃止、継続雇用制度のいずれかの措置をとらなければなりません。

 この義務に違反した場合、労基法違反のように罰則はなく、制裁的な企業名の公表もありませんが、厚生労働大臣による助言・指導の対象となってしまいます。


■ 継続雇用と高年齢雇用継続給付+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 継続雇用後の賃金を60歳前の賃金に比べ、6割程度に減額した場合、職安から本人に給付される高年齢雇用継続給付金が、有利に受け取れます。

 65歳までの雇用確保をはかるため、55歳で賃金を減額する会社もあるようですが、減額幅が大きいと60歳以降の高年齢雇用継続給付金が受け取れなかったり、わずかだったりしてしまいます。

 高年齢給付金は、60歳前半年間の賃金の平均に対する、60歳以降の賃金の割合で決まります。60歳前の半年に、残業が多かったりすると、高年齢給付金はお得にもらえます。

 特別の能力がある方を除いては、公的な給付を視野に入れた、賃金を提示することになるでしょう。


■ 定年後の継続雇用の雇用期間+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 60歳以上の人との雇用契約は5年とすることもできますが、その場合、期間途中の契約解消が難しいことに気をつけるべきです。やはり、契約期間は1年以内として、そのつど契約内容を見直し、問題がない場合に65歳まで更新するという契約がよいでしょう。

 定年後の新たな雇用に際し、雇用契約書による労働条件の明示は必須です。
 雇用契約書には、「再雇用契約の更新を希望する場合には、契約期間満了日の1カ月前までに会社に申し出るものとする。」の一文を入れておきましょう。

 

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