お知らせ
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作成日:2011/09/19
★ パートの社会保険 ★



 パート労働者への厚生年金の適用拡大を図るため、社会保障審議会に特別部会が設置されました。

 平成16年と19年にも検討されたパート労働者への適用拡大ですが、廃案となり今に至っています。

 3度目の正直という言葉もあります。今後どうなるのでしょうか。


 まずは、本日の結論から  ★多忙な方はここをチェック★★↓↓


■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 
 社会保険に加入していないパート労働者を雇用している会社では、適用拡大となった場合にそなえ、まず各人ごとに

  【週の所定労働時間を20時間未満にして、扶養の範囲で働きたいのか。】

  【保険料負担をしても、働きたいのか。その場合労働時間の希望は?】

 を確認しておきましょう。


■ 年金制度の実情 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 厚生年金保険の加入者数は 3,425万人。公務員などの共済年金加入者は443万人。
 合わせて3,868万人が年金制度では第2号被保険者となって年金制度の中核を支えています。

 第2号被保険者に扶養されている配偶者は第3号被保険者と呼ばれ、1,021万人います。
 サラリーマンと公務員のおよそ4人に1人は配偶者を扶養し、年金制度では第3号被保険者になっています。


■ 第3号被保険者は無職? +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 扶養されているのだから無職?そんなことはありません。

 年収130万円を上回らない見込みであれば、健康保険の扶養家族になることができ、20歳以上60歳未満の配偶者であれば、第3号被保険者になれます。

 もちろん第3号被保険者は女性に限りません。

 第3号被保険者は年金保険料を払わなくてよいのです。払わなくても払っていたものとされ、将来年金がもらえます。
 

■ 厚生年金加入の要件 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 短時間労働者の厚生年金の加入要件は以下です。

 【1日または1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が通常の労働者の所定労働時間又は所定労働日数のおおむね4分の3以上であること】

 4分の3要件といわれるもので、週30時間に満たない働き方であれば、加入する必要がありません。


■ パートの4人に1人は就労調整をしている +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 パート労働者の就業調整に関する意識調査によると、パート労働者の25%は就労を調整しているといいます。その理由のベスト3は以下のとおりです。

1 所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を支払わなければならないから。

2 一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから。

3 一定額を超えると配偶者の税法上の配偶者控除がなくなり、配偶者特別控除が受けられなくなるから。


 パート労働者の4人に1人は、社会保険の扶養家族にとどまりたい、税法の優遇措置も受けたいと、働く時間をおさえていることが読み取れます。


■ どのようなパートに適用か +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 現在、雇用保険に加入するためには、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用が見込まれなければなりません。

 審議会では、この要件をそっくり社会保険加入に当てはめようとしています。
 パート労働者など約400万人が適用になるだろうと試算されています。

 審議会の案では、パート労働者に社会保険を適用拡大するほか、年金の給付抑制(年金額を下げるということ)、年金支給開始年齢の68歳から70歳に引き上げなどとも書かれています。


■ 事例で考えると +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 たとえば時給1000円で週25時間、1か月100時間労働で月給与10万円(年収120万円)で働くパート労働者がいたとします。雇用保険には加入しますが、社会保険には加入しません。夫の社会保険の扶養家族となっていて、年金は第3号被保険者です。

 適用拡大されると、10万円の標準報酬月額98千円に対し、

   厚生年金保険料8,041円、
   健康保険料4,620円、(40歳以上)
   介護保険料740円      
            合計13,401円がかかります。

(平成23年9月分の新潟県の場合。今後この金額は上がり続けることが確実です)

 10万円の給与から13,401円が引かれるのです。将来、厚生年金はわずかに増えるかもしれませんが、保険という名の重い税金がかかるのです。

 本人は、加入したい、というでしょうか。

 それとも19時間に抑えてほしい、というでしょうか。

 月給与10万円、年収120万円の今のまま、社会保険に加入を強制された場合、毎月13,401円の保険料で、年間では16万円以上の負担です。社会保険料控除後の年間の収入は103万円ほどに減ってしまいます。

 もし、週の労働時間を19時間に減らして1年52週働くと、時給1000円で年収は988,000円です。

 25時間働いて社会保険加入だと103万円ですから、そのほうがお得とみますか?
 確かに今はお得ですが、社会保険料のアップは必至、差はいずれなくなるでしょう。


■ 会社は今から準備を +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 パート労働者が多い会社にとっては死活問題です。

 昇給も難しい時代に、14%もの社会保険料負担に耐えられるでしょうか。

 雇用保険に加入して社会保険に加入していないパート労働者がいる会社では、まず、保険料負担の試算をしましょう。

 パート労働者加入については、中小事業主や給与の低い労働者に配慮した調整はあるかもしれません。

 ただ、適用拡大は近い将来避けられないと考え、今から準備が必要でしょう。

 (平成23年9月1日、第1回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会資料を参考にまとめました)

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