お知らせ
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作成日:2017/12/01
★★ 賞与に出勤率をもうけますか? ★★



 
 「休まずに出勤してきた人と、休んでばかりいた人」がいた場合、休んでばか
りいた人には賞与でマイナス評価となるでしょう。

 ただ「休み」にもいろいろ、賞与の算定で気をつけなければならないことが
あります。
 

■ 重要ポイント ─────────────────────────
 
  賞与の支給で出勤率を設けるときに、産後休業期間・育児短時間勤務の不
就労期間を欠勤としたことが無効とされた判例がある。権利の行使を抑制する
ものだと判断されたからである。産後休業など権利として休むことができる休
みの取り扱いは賞与決定でも注意が必要だ。


■ 賞与の定義 ─────────────────────────

賞与について、通達で次のように定義づけされています。

「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるもので
あって、その支給額があらかじめ確定されていないものをいうこと。定期的に
支給されかつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらずこれ
を賞与とみなさないこと」昭22.9.13 発基17号


■ 賞与の性格 ─────────────────────────

賞与は本来支払い義務のあるものではありません。就業規則で賞与支給や支給
基準が定められていると、その規定により賞与の支払い義務が生じます。どの
ような基準で賞与を支払うかは使用者の自由です。

賞与には功労報償的性格、賃金の後払い的性格、将来の労働への期待などの性
格があると考えられています。


■ 賞与支給で出勤率を設けることができるか ────────────────

休んでばかりいる人には賞与を払わない、ごもっともです。

労働者の出勤率を上げるため、出勤率の低い者について賞与を支給しないと規
定することは可能です。たとえば賞与の支給対象者を出勤率50%以上の者とす
るなどです。この場合、出勤率50%未満の者には賞与なしということになりま
す。


■ 休みの種類 ─────────────────────────

休みといってもいろいろありますから、出勤率の設定で考慮しなければなりま
せん。

私傷病等で休んだのは本人の責任に属することで、「労働者の責めに帰すべき
不就労」です。欠勤扱いされても仕方のない休みです。

年次有給休暇をとって休んだのは労働者の権利を行使した休みです。法律で有
給にしなければならないと規定されている休みです。

産前産後休業、育児介護休業法に基づく休業等も労働者の権利として法律で保
障された休みです。ただし、年次有給休暇と違って休んだ期間に対し賃金は保
障されていません。


■ 年休取得と出勤率 ─────────────────────────

年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いを
することは禁止されています。(労基法136条)

賞与の計算上、年次有給休暇取得日を出勤率の算定で欠勤とすることや、賞与
の算定で不利に取扱うことはできないと考えられます。


■ 産休等を出勤と取扱わなければならないとき ────────────────

年次有給休暇の付与に出勤率が8割以上という要件があります。

産前産後休業の期間、法律に基づく育児・介護休業をした期間は、年次有給休
暇の出勤率算定に当たって、出勤として取り扱うことが使用者に義務付けられ
ています。

出勤率の算定においては暦日単位で考えますので、短時間勤務の日も出勤と考
えます。


■ 産前産後休業等と賞与の出勤率 ──────────────────────

賞与の支給要件として対象期間の90%以上の出勤率を要求し、産休及び育児勤
務時間短縮分を欠勤扱いとしたことを無効とした裁判例があります。

(東朋学園事件 最高裁一小平15.12.14判決)

産後休業と育児短時間勤務の期間が出勤率の算定で欠勤とされ、2回の賞与が
不支給となったことが争われた事件です。年収に占める賞与の割合は約3割と
高くなっていました。

「出勤率が90%未満の場合には一切賞与が支給されない不利益」「従業員の年
間総収入額に占める賞与の比重は相当大きい」「90%という出勤率の数値から
見て、従業員が産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を受けた場合には、
それだけで同条項に該当し、賞与の支給を受けられなくなる可能性が高い」な
どが公序に反するとされました。
 

■ 産休等の不就労と賞与の減額 ───────────────────────

前掲東朋学園事件でも、産休・育児短時間措置の不就労の時間に応じて賞与額
を減額することは許容されるとしました。労基法や育児介護休業法に規定され
ている権利としての休業や短時間勤務であっても、有給であることまでは保障
されていないため、比例的に賞与額を減額する取り扱いは、不利益取り扱いに
は当たらないとされました。


■ 育児介護休業と不利益取り扱い ──────────────────────

育児介護休業法は、「事業主は、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休
暇、所定外労働の制限、所定労働時間の短縮措置等の申出をしたこと又は取得
等を理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならな
い」と定めています。

 不利益な取り扱いの中には「賞与等において不利益な算定を行うこと」が含
まれます。

 育児休業、介護休業期間中や子の看護休暇、介護休暇を取得した日、所定労
働時間の短縮等の適用期間中の現に働かなかった時間について賃金を支払わな
いこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業
した期間、休暇を取得した日数、所定労働時間の短縮措置等の適用により現に
短縮された時間の総和に相当する日数分は日割りで算定対象期間から控除する
ことなど、もっぱら育児休業等により労務を提供しなかった期間は働かなかっ
たものとして取り扱うことは、不利益な取扱いに該当しません。

休業期間、休暇を取得した日数、所定労働時間の短縮措置等の適用により現に
短縮された時間の総和に相当する日数を超えて働かなかったものとして取扱う
と「不利益な算定」となります。(厚労省告示509号 第2の11(2))


■ 賞与の出勤率要件の留意点 ────────────────────────

賞与の支給対象者を出勤率50%以上の者とするというような規定を設けるとき
の休みが労基法などの権利に基づくものではなければ問題ありません。

 育児休業など法の権利に基づく不就労を欠勤と同様に扱い出勤率算定をする
場合は、権利の性格、出勤率の割合、経済的不利益の程度等から見て権利行使
を抑制し、権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものではないことが必要です。
 

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小野本 社労士事務所
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