お知らせ
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作成日:2011/01/12
★ 年俸制のリスク ★



 従業員のうち管理職の数人を年俸にしている会社がありました。
 年俸制にすると残業代はいらないのでしょうか?
 年俸制はとりいれるべきなのでしょうか?

 まずは、本日の結論から  ★多忙な方はここをチェック★★↓↓

■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 年俸制は残業対象外の管理職に限定して採用すべき制度です。
 年俸は下げにくいことを考えて、基本年俸と業績年俸に区分して支払う規定とすべきです。

■ 残業が全く無いのなら・・・+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 あなたの年俸は600万円です。と契約しても、はじめに600万円を支払ってあとの11か月はナシということはできません。
 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないからです。
 600万円なら12で割って、1か月50万円です。毎月50万円を支払って年俸600万円にすることはできます。
 また、1か月は40万円にして、8月と12月は賞与相当額として60万円ずつを支払うこととして、年俸600万円という方法もできるでしょう。
 残業が全く無いのなら、従業員の一人ひとりを年俸にすれば、賃金の管理はわかりやすく簡単です。

■ フツウの従業員を年俸制にするリスクは大きい+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 年俸制を採用しても、残業代の支払は必要です。
 年俸600万円の人に残業があったとします。12分の1の50万円を所定労働時間で割り1.25をかけて残業代を支払わなければなりません。
 1か月は40万円、賞与で120万円という支払い方法でも、残業代は約束されている年俸600万円を12等分した50万円を基礎に計算します。
 とんでもない金額の残業代になってしまいます。
 年俸制は残業代の支払対象ではない「監督若しくは管理の地位の者」に限って適用すべきものなのです。

■ 年俸制に残業代を含めることはできるか+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 もっとも、フツウの従業員を年俸制にして残業代を含んだものとすることはできます。
 年俸600万円から考えてみると以下のようになります。
  月給与50万円の内訳 基本給  408,000円
         固定残業代  92,000円(30時間分の残業代)
     (408,000円÷170時間×1.25×30.666=91,998)
      月間所定労働時間を170時間として計算
 この場合、30時間を超えたときは超えた分の残業代を支払わなければなりません。
 また、【 月給与50万円の内訳  基本給 340,000円
             固定残業代 160,000円(64時間分の残業代)
      (340,000÷170時間×1.25×64=160,000円) 】

 のようにすることもできないわけではありませんが、時間外労働の限度基準、36協定の限度時間を考えると、固定残業代をむやみに大きくすることはお勧めできません。

■ 年俸制は紛れもない管理職に適用する+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 年俸制に残業代を含める方法はできないわけではありませんが不自然です。
 残業代を支払わなければならないフツウの従業員を年俸制にするのはやめるべきです。
 年俸制は 管理職(課長以上) 又は 研究職(裁量労働制対象者に限る)とすべきです。
 残業代を考えなくてもよい人に限定して年俸制をとるべきなのです。

■ 年俸制であっても基本部分と業績部分を分けるべき+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 管理職等に年俸制を適用するに当たっていくつか注意する点があります。
 年俸を毎月確実に支払う約束の基本年俸と業績年俸に区分すべきということです。
 業績年俸は会社業績と本人の目標達成度、会社貢献度に応じて変動するものであることを明確にしておくことが重要です。

■ 年俸制であっても欠勤控除の方法を決めておく+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 年俸制は、年を単位に賃金を決める制度ですから、日割り計算や欠勤控除を想定していません。
 賃金規程で、年俸制適用者にも欠勤や休職のときは所定労働日数を基準として日割り計算し、欠勤控除すると明記しておくべきです。
 年俸制適用者が途中退職した場合、退職日以降の賃金の支払は行わないこと、加えて賞与も支給日に在籍していなければ支給しないことを明らかにしておきましょう。

■ 年俸制を止めるにはどうすればよいか+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 「・・・なぜ年俸制にしたのですか?いつから年俸額に?」
 年俸制の管理職がいる会社で聞いてみると、答えは、「賞与にも高い社会保険料が徴収されるようになったときから」というものでした。
 その会社では管理職も含め従業員の残業が少ないこと、管理職としての自覚を高めたいという期待もあり、年俸制をとりはじめたといいます。
 年俸を単純に12等分して支払っていて、賞与の支払はありません。
 中にはまだ40歳前の若い従業員(管理職)もいました。
 今後長期的にその従業員の年俸を維持することが困難になることも考えられます。今から対策を考えようということになりました。

■ 改定の話を早いうちに+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
【・今の年俸を保証するが、毎月の給与は年俸の16分の1とし、残りの16分の4はそれぞれ2か月ずつ夏冬の賞与とする(その会社で平均的な従業員の賞与は月給与の各2か月分なので)。  ・今後数年のうちに、賞与を会社の業績と本人の会社貢献度を反映させたもの(金額にアップダウンがあるもの)とする。】
 年俸を保証するとはいえ、毎月支払われる賃金が下がるので、実施までには1年以上の期間をおき、該当者の一人ひとりにきちんと話をして、合意を得ておき、慎重に実施しましょうということになりました。

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