お知らせ
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作成日:2017/03/03
★★ 割増賃金の計算は大丈夫? ★★ 




 「割増賃金の計算が間違っているという指摘を受けた・・・」

 労基署の労働条件の調査に出向いたところ、思いがけず割増賃金の差額の支
払いを命じられたといいます。どこに間違いがあったのでしょう。


■ 重要ポイント ───────────────────────── 

 労働条件等の調査では、割増賃金の計算方法をチェックされ、不足額には支払
いを命じられる。

 年次有給休暇の取得を促進するよう、年次有給休暇管理台帳を作成することも
指導される。


■ 割増賃金計算の時間単価とは ───────────────────

 月給で賃金が決められている人に「あなたの時給はいくらですか?」と聞いて
も首をかしげる人が多いのではないでしょうか?

 月給の場合は月額給与を「1年間における1か月平均所定労働時間」で割って1
時間当たりの賃金を計算します。
 たとえば土日と祝日、年末年始、夏季が休みだと122日が年間の休日となりま
す。
1日の所定労働時間が8時間であれば1カ月平均所定労働時間は以下により162時
間となります。
(365−122)×8=1,944時間(年間総労働時間)  1,944÷12=162時間


もし1日7時間、毎月6日休み(年間72日)であれば
(365−72)×7=2,051時間(年間総労働時間) 2,051÷12=170.9時間


あるいは1日8時間、年間休日105日であれば
(365−105)×8=2,080(年間総労働時間) 2,080÷12=173.3時間


 なお、週40時間労働でなければならないので、1か月平均所定労働時間の上限
は173時間くらいになります。

 同じ月給でも労働時間の違いで時間単価が異なり、割増賃金の計算の単価が変
わることに注意が必要です。年間の休みを特定しないと1カ月平均所定労働時
間が決まらず、残業単価も不正確になってしまいます。


■ 割増賃金には3種類 ───────────────────────── 

 割増賃金を払わなければならない場合には3種類あります。時間外手当と休日
手当それに深夜手当です。

 1日8時間、週40時間を超えたときは25%以上の割増賃金を支払わなければなり
ません。法定休日(週1回)に勤務させたときは35%以上の率で計算した割増
賃金を支払います。22時から5時までの間に勤務させたときは25%以上の割増
率の深夜手当を支払うことになります。


■ 営業手当は計算の基礎に入れる? ─────────────────── 

 割増賃金の計算基礎は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」額です。

 距離に比例して支給される通勤手当は割増賃金の計算基礎に含めません。
そのほか、家族手当、扶養手当、子女教育手当、別居手当、単身赴任手当、住
宅手当(家賃の一定割合を支給するというような手当)、臨時の手当は含めま
せん。

 地域の物価水準を考慮した物価手当や外回りの営業職に支給する営業手当、精
皆勤を奨励する皆勤手当などは除外されていません。除外されていない手当は
すべて割増賃金計算に含めなければなりません。


■ 固定残業代の注意点 ───────────────────────── 

「職務手当は20時間分の時間外労働割増賃金として支給する」のような固定残
業手当の支払いをすることは認められていますが、気をつけなければならない
ことがあります。

(1)固定残業代を除いた基本給の額が示されていること

(2)固定残業代に関する労働時間数と金額の計算方法が示されていること

(3)固定残業代を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して割増賃
金を追加で支払うことが明記されていること


 たとえば、月の労働時間が162時間で基本給(諸手当なし)162,000円であれば
時間外労働割増賃金は1,250円です。20時間の残業代は25,000円です。

【給与辞令の記載例】

基本給162,000円、職務手当25,000円(20時間分の時間外労働割増賃金)
               合計187,000円

20時間を超える時間外労働があった場合は超えた時間について1時間につき
1,250円を支払う。深夜労働があった場合は、25%割増の深夜労働手当を別途支払
う。法定休日(1週間に1回の休日)労働には35%割増の休日労働割増賃金を支
払う。


■ 端数処理 ───────────────────────── 

 1時間当たりの賃金や残業代を計算するときにはどうしても1円未満の端数が
出てきます。端数処理については以下のような通達があります。

 「1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭
未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること」


■ 管理職と割増賃金 ───────────────────────── 

「課長職以上は会社の管理職として、時間外労働割増賃金を支払わない」

このようなことは認められるでしょうか。確かに労働基準法には労働時間規制
が適用されない者として「監督若しくは管理の地位にある者」と書いてありま
す。

 「課長」「営業所長」「店長」など、管理職と思われる役職はいろいろあり
ますが、肩書ではなく、実態により判断します。以下のことが判断基準です。

(1)経営者と一体的な立場で仕事をしているか

(2)出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない

(3)その地位にふさわしい待遇がなされているか(定期給与ボーナスなどが
一般社員より優遇されているか)

 なお、深夜手当は管理監督者に対しても支払う必要があります。


■ 賃金の時効 ───────────────────────── 

 割増賃金の計算が間違っていたような場合、いつから訂正すればよいのでし
ょう。

 賃金の請求権の時効については2年となっています。退職手当については5年で
す。


■ 賃金計算の間違いと是正報告 ───────────────────

 冒頭の会社では、割増賃金の分母の数字が1カ月平均の所定労働時間の数字に
なっていませんでした。勤勉手当を支給していましたが、は勤勉に勤務したか
否かにより、支給したりしなかったりする手当なので、計算基礎から除外でき
ると思い、入れていませんでした。計算をやり直し、差額を支払いました。

 年次有給休暇の取得を促進するよう指導も受け、以下の書面を渡され改善報告
を求められました。

(1)年次有給休暇管理台帳等を作成し労働者各人の有給休暇の取得状況を管
理するとともに、残日数を労働者へ周知してください。

(2)年次有給休暇は、事業場の規模にかかわらず、また正社員であるか否か
にかかわらず「雇い入れの日から6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤
した」すべての労働者に対して(請求する時期に)付与する義務がありますの
で留意ください。


■ お詫び・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 先回2017年2月13日の「育児休業給付金」についてのメルマガの訂正です。

 記事の内容は以下で後半が誤りと訂正です。↓  ↓

支給単位期間(育児休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間)にお
いて、就業していると認められる日(全日休業している日(日曜日や祝日など、
会社の休日となっている日も含む)以外の日)が10日(10日を超える場合にあ
っては、就業している時間が80時間)以下であることが必要なのです。

 たとえば、2月1日から育児休業を開始しようとすると、2月28日までが支給
単位期間になります。所定休日が土日の8日間とすると、あと2日で10日になり
ます。

 2日働いても給付金はもらえますが、3日以上働くと全く給付金はもらえません。

  ↑  ↑  ↑   ここまで


訂正後  ↓  ↓

支給単位期間(育児休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間)にお
いて、就業していると認められる日(全日休業している日(日曜日や祝日など、
会社の休日となっている日も含む)以外の日)が10日(10日を超える場合にあ
っては、就業している時間が80時間)以下であることが必要なのです。

 たとえば2月1日から育児休業を開始しようとすると、2月28日までが支給
単位期間になります。10日以下の就労であれば支給されますが11日以上の就労
であれば支給されません。

  ↑  ↑  ↑   ここまでで訂正終わり。

 以上お詫びして訂正いたします。

お問合せ
社労士法人アイビーウィル
〒950-0986
新潟県新潟市中央区神道寺南2-7-43
TEL:025-385-7771
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