お知らせ
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作成日:2016/07/20
★ 労働者代表を会社が指名したために書類送検! ★




 「この協定に今年もサインしてくれないか」

 もし労使協定の労働者代表を会社が依頼した人にしているのであれば、その
協定は適法に結ばれているとはいえません。36協定(時間外・休日労働の協
定)が適法に結ばれていないのであれば、協定が届け出されていても無効(出
していなかったものとされてしまう)となります。

 労働者代表が会社指名の者であったために、36協定が無効とされ、労基法32
条(週40時間を超える時間外労働の禁止)違反で書類送検された事件がありま
した。


 御社の36協定の労働者代表は、真に労働者の団体意思を代表する方ですか?


■ 重要ポイント ─────────────────────────


 労使協定の労働者代表では選出方法を誤らないようにしなければならない。

 会社が指名した労働者代表と締結した労使協定は無効となり、残業時間が短
くても、割増賃金を払っていても、違法となり、改善を怠ったままにしている
と書類送検されてしまう。


■ 事件の概要 ──────────────────────────


 静岡・三島労働基準監督署は、有効な36協定を締結することなく時間外労働
を行わせた東洋印刷株式会社と同社総務経理課課長を2016年6月20日、静岡地
検に書類送検しました。

 送検容疑は2015年4月から7月、違法な選出の仕方で選んだ労働者代表と結ん
だ労使協定に基づき、従業員2人に週最大約9時間の時間外労働を行わせた疑い
です。同署は13年から同社に時間外労働を是正するように指導していました。
同社は再三の指導にもかかわらず改善を行わず、違法な労使協定を結び、時間
外労働を協定範囲内とする届け出をしていたといいます。


■ 違法な36協定とは ───────────────────────


 今回の事件で時間外労働は、1人当たり1日最大40分、1週では9時間と報道さ
れています。時間外労働が特に多いというわけではありませんでした。それも
たった二人です。また、割増賃金は全額支払われていました。

    ・・・労働新聞平成28年7月18日号 労働新聞社発行 ほかより

 労働基準法は週40時間、1週1回の休日を定め、これを超える時間外労働・休
日労働には労使協定を結び、労基署への届出を義務付けています。
 時間外・休日労働の協定は通常36協定といわれています。

 労使協定ですから、使用者が一方的に作成できる書面ではありません。使用
者と労働組合、労働組合がない場合には従業員の過半数を代表する者と使用者
が締結するものです。


■ 労働者代表になれない人 ────────────────────


 36協定を結ぶことによって法定の労働時間を超えて労働させることが出来る
ようになる、つまり、法律に違反することなく時間外労働が可能となるわけで
すから、従業員代表の選出方法は慎重さが求められています。通達でダメな場
合が列挙されています。

 (1)労働者を代表する者を使用者が一方的に指名している場合

 (2)親睦会の代表者が労働者代表となっている場合

 (3)一定の役職者が自動的に労働者代表となっている場合

 (4)一定の範囲の役職者が互選により、労働者代表を選出することとしてい
る場合

 また、きちんと選出された場合であっても、その者が事業場全体の労働時間等
労働条件の計画、管理に関する権限を有する者である場合は労使協定の労働者
代表にはなれません。


■ 労働者代表の選び方 ──────────────────────


 36協定を結ぶための労働者代表を選ぶための手続きであることを明らかにし
て、以下のような方法で選出されるよう求められています。

(1) 無記名の投票による方法

(2) 朝礼の席上等公開の場所における挙手等による方法

(3) 文書回覧等により一定の推薦者の選出について同意を求める方法

(4) 複数の代表者による互選による方法
   (各職場の信任手続きを事業場で積み上げる方式)

(5) 労働者総会または労働者代表委員会を設置し、その議決による方法

(6) 労使協議組織を設置し、その議決による方法


■ 今回の労使協定の問題点 ────────────────────


 今回書類送検された印刷会社では、2014年の監督署の指導後も、違法な時間
外労働を改善せずに、2014年10月および2015年3月に使用者側が一方的に労働
者代表を選出し、現状の時間外労働が適法になるように協定を再締結していま
した。

 代表者選出が適切でなかったので、36協定が無効となり、労基法32条の法定
労働時間を超えて労働させたという違反の疑いで書類送検されたのでした。


■ 労働者代表の役割はいろいろ ──────────────────

 労働基準法では36協定のほかにも労働者代表が結ぶ協定がいろいろあります。
監督署への届け出が必要な重要な労使協定は「1年単位の変形労働時間に関す
る協定届」です。

 労使協定を締結することによって労基法の規制が解除されるという重要な協
定なのですから、使用者が指名した労働者が労働者代表となっていては労使協
定を結ぶ意味がないのです。

 育児・介護休業法では労使協定を結ぶことにより、一定の範囲の労働者を対
象者から除外するということが認められています。

 2015年9月30日施行の労働者派遣法では、派遣労働者の期間制限の延長に当
たり、労働者代表の意見聴取手続きが必要になっています。


■ まとめ ─────────────────────────── 


 ますます重要で複雑になる労使協定。労働者代表の選出に誤りのない、適法
な協定締結が求められています。
お問合せ
小野本 社労士事務所
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