お知らせ
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作成日:2015/11/01
★ 生理休暇あれこれ ★





「生理休暇って何日くらい与えればよいのでしょう」

 うーん、具体的な時間や日数は定められていないのです・・・


■ 重要ポイント ───────────────────────────

 労働基準法で女性に与えなければならない休暇に生理休暇がある。

 「著しく就業が困難」であれば、付与する休暇だが、無給でもよい。

 欠勤という取り扱いでよいが、経済的な不利益が大きすぎないように。



■ そもそも休暇とは ─────────────────────────

 「今日は休みだ!」といっても、休みには「休日」と「休暇」があります。

会社が休みだと定めていて(労働義務がない日)、もともと働かなくてよい日
を「休日」といいます。

働かなければならない日なのに、個別的に一定の事由があって労働義務を免除
されている日をといいます。

 「休暇」は申請によって付与するものです。

 産前産後の休みについては、産前産後休暇ということもありますし、産前産
後休業ということもあるように、比較的長い休暇について休業という言葉を使
います。


■ 労基法と休暇 ───────────────────────────

労働基準法は3種類の休暇を定めています。

法律で定められた有給の休暇が「年次有給休暇」です。(労基法第39条)

産前・産後についても「休暇」を付与しなければなりません。(労基法第65
条)

「生理日の就業が著しく困難な女性」にも「休暇」を付与します。(労基法第
68条)

休暇を請求された場合、使用者はそのことについて不利益に取り扱うことが禁
止されています。


■ 育児・介護休業法と休暇 ──────────────────────

男女労働者が原則1歳未満の子を養育するため申し出た場合は、育児休業を付
与しなければなりません。育児・介護休業法は、要件に該当する労働者が申し
出た場合、育児休業のほか、介護休業、看護休暇さらに介護休暇を付与しなけ
ればならないと定めています。

育児・介護休業法は男女ともに子育てや介護をしながら働き続けることができ
ることを目的としています。

申出があった場合、原則として使用者は拒むことができません。


■ 生理休暇とは ───────────────────────────

 「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した時は、その者を生理日
に就業させてはならない」

 就業が著しく困難な状態であることについて証明手続きを厳格にすることは
よくないとされています。医師の診断書のような厳格な証明を求めることなく、
同僚の証言程度の簡単な証明で付与すべきものとされています。


■ もともとは生理に有害な業務があった?! ──────────────

 昭和60年の労働基準法改正前の生理休暇の規定には、「生理日の就業が著し
く困難な女子」のほか「生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求し
た時」が入っていました。生理時のみに有害な業務というのは考えられないと
いう指摘があって、現行の条文に改正されました。

 男女雇用機会均等法の制定に伴う昭和60年の労基法改正時に「生理休暇」と
いう条文の見出しも「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」と変更
されました。


■ 諸外国にはあまりない制度 ─────────────────────

 インドネシアと韓国に生理時における休暇の規定が見られるようですが、生
理休暇の制度はILO条約にはなく、諸外国には例がないものです。


■ 生理休暇の単位は? ────────────────────────

 女性が現実に生理日の就業が著しく困難な状態にある場合に、休暇の請求が
あったときに休暇を付与するもので、必ずしも暦日単位で行われる必要はあり
ません。半日又は時間単位で請求した場合には、その範囲で就業させなければ
よいというものです。

 また、単に生理日というだけで休暇を請求することができるものではありま
せん。

■ 有給か無給か ───────────────────────────

 生理休暇中の賃金は支給しても支給しなくても差し支えありません。就業規
則などで、特別の定めがない場合は、無給となります。


■ 産前産後休暇との違い ─────────────────────

 年次有給休暇の出勤率の算定において、産前産後休業期間と育児介護休業期
間は、出勤したものとみなして取り扱わなければなりませんが、生理休暇につ
いてはそのような規定はありません。


■ 就業規則の定め ───────────────────────

 就業規則では生理休暇について以下のように定めておくのがよいでしょう。

 「生理日の就業が著しく困難な女性従業員が休暇を請求した時は、必要な時
間又は必要な日数の休暇を与える。生理休暇は無給とする。」


■ 精皆勤手当の算定で欠勤扱いできるか ────────────────

出勤不足日数があった場合、精皆勤手当が減るという賃金規程の会社で、生理
休暇取得日を出勤不足日数に入れていました。手当額が1カ月5,000円のところ
1日の出勤不足で3,000円、2日の場合1,000円、3日以上の場合は不支給となる
ものでした。ただし、生理休暇の取得者には最低でも1,460円の不就労手当が
別に支給されていました。

「制度の趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、生理休暇の取得に対す
る事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、生理休暇の取得を著しく困
難とし同法が女子労働者の保護を目的として生理休暇について特に規定を設け
た趣旨を失わせるものと認められるのでない限り違反とすることはできない」
と是認されました。(エヌビーシー工業事件・最高裁判所 昭和60・7・16)


■ 稼働率80%の算定に生理休暇を不就労事項に入れてよいか ───────

賃金引き上げの条件として、前年稼働率が80%以下の者を除外するとなってい
て、その不就労事項には年休、生理休暇、産前産後休業、育児時間、労災によ
る休業等、ストライキなど組合活動が含まれていたケースが法令違反となるか
裁判で争われました。法律に定められた権利の行使を抑制し、法律が労働者に
権利を保障した趣旨を実質的に失わせるとして、この定めは公序に反し無効で
あるとされました。(日本シーリング事件 最高裁判所 平成元・12・14)


■ 著しい不利益を課すことはできないが ────────────────

労基法制定当時からある生理休暇について、欠勤として取り扱うことは妥当で
あると考えられています。昇給などでマイナスとされ、権利を行使できないほ
ど不利益の程度が大きい取り扱いは問題となります。
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