お知らせ
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作成日:2015/09/01
★ 労災事故が起きたら ★




「調理中に油がはねてやけどをした」

 家の台所でもこのようなことは起こりますが、レストランの厨房で調理師が
やけどを負うと、【業務上】の事故で【労災】となります。

 労災事故が起きたとき、会社はどのように対応すればよいのでしょう。

 労災とそうでないときと何が違うのでしょう。


■ 重要ポイント ───────────────────────────

 業務上のけがや病気について労働者は、労災保険の給付を受けることができる。
治療費、薬代の負担はなく、コルセット代金や診断書料も立替えて払うと、戻
ってくる。
 4日以上の休業の業務上災害の場合、会社は「労働者死傷病報告」を遅滞
なく労基署に提出する必要がある。


■ まずは現場の上司に報告を ─────────────────────

 業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡のことをいい
ます。
 業務上の災害について、労働者は労災保険の適用を受け、健康保険の給付よ
り手厚い給付を受けることができます。

 業務上と認められるためには、業務と傷病との間に一定の因果関係があるこ
と(業務起因性)と雇われていることが原因となって起きた災害であること
(業務遂行性)の両方が認められる必要があります。

 調理師の業務中のやけどは間違いなく業務上です。

 小さなけがでもまずは現場の上司に報告することを会社のルールとしておく
ことをお勧めします。

 病院に行くほどでもないからと報告もせず、数日たってからよくならないの
で病院を受診ということもあります。日にちがたつと本当に業務上?というこ
とにもなりかねません。
 業務上災害の請求を出す場合、災害発生の事実を確認した者の名前を書く必
要もあります。


■ 労災で病院に行くとき ───────────────────────

 業務上と判断され、病院に行くことになった場合、会社は「療養補償給付た
る療養の給付請求書」(様式第5号)に災害の原因や発生状況を記載し、会社
の名前や事業所の住所を書いて押印し、被災した労働者に渡します。

 労働者はこの5号用紙を、治療を受ける病院に提出することで、タダで治療
を受けたり、投薬を受けたりすることができます。

 病院は労災保険に請求するという仕組みです。
 健康保険被保険者証は使いません。


■ 労災指定病院でない病院に行くとき ─────────────────

 労災指定病院でない場合は、治療費を現金で支払い、労基署に「療養補償給
付たる療養の費用請求書」(様式7号)を提出します。あとで本人指定の口座
にお金が振り込まれます。

 コルセットを医師の指示で購入した場合の費用も請求できます。医師の診断
書と領収書を添付して請求します。

 労基署から医師の診断書の提出を求められることがありますが、有料の診断
書料も領収書を添えて請求できます。

 様式7号は5種類あります。病院で治療を受けたとき、薬局から薬剤の支給を受
けたとき、柔道整復師の治療を受けたとき、あん摩マッサージ指圧師等から施
術を受けたとき、訪問介護を受けたときで異なる様式になっています。


■ 転院するとき ───────────────────────────

 病状がよくなってきて自宅近くの病院に移るとき、届出をすれば、同じように
労災扱いになります。

「療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」(様式6号)
を新たに受診する病院に提出します。


■ 通院のタクシー代 ──────────────────────────

 業務で骨折をして通院が必要だがバスに乗ることができない、近くに適切な医
療機関がないなどのときには、タクシーの領収書を添えて請求することで、タ
クシー代が戻ってくることがあります。


■ 労働者死傷病報告の提出を忘れずに ──────────────────

 業務上のけがで、4日以上会社を休まなければならない場合、会社は監督署に
「労働者死傷病報告」(様式第23号)を提出しなければなりません。

 これは労働安全衛生法により提出が義務づけられているもので、災害発生後
「遅滞なく」提出するよう定められています。災害発生から「労働者死傷病報
告」の提出まで1カ月以上経過している場合は、提出が遅れた理由について
「報告遅延理由書」が求められます。

「労働者死傷病報告」には、被災労働者の経験年数を書き、災害発生時の状況
を図示することになっています。

 死傷病報告を提出した後、内容に安全衛生法違反が疑われるようなときには、
労基署の立入調査が行われることがあります。


■ 休業があるとき ───────────────────────────

 労災事故で、休業(仕事を休んだ)した場合、「休業補償給付支給申請書」
(様式第8号)を労基署に提出することで、労働者は、休業の所得を補てんし
てもらうことができます。

 休業3日までは事業主が直接補償し、4日目から労災保険の休業補償給付が支給
されます。
 休業補償は、平均賃金を元に給付基礎日額が算定され、その60%が休業の1日
につき支給されます。休業給付には、さらに20%の特別支給金が支払われるの
で、給付基礎日額の80%が支給されます。この休業でもらえるお金は非課税で
す。


■ 休業補償給付は退職してももらえる ───────────────────

 同じ傷病で休業が継続していれば休業日について期間の制限なく、【治癒】す
るまで休業給付金は支給されます。軽快して一旦就業し、後日また休業するよ
うなときも休業日について支給されます。

 療養が長期化し、1年6カ月以上になり、かつ傷病等級に該当する障害の場合は、
傷病補償年金が支給されることになり、休業補償給付は支給されません。

 休業補償給付は、給付を受けている労働者が退職した場合でも、要件に該当し
ていれば引き続き支給されます。療養補償給付もうけられます。
 労基法第83条で、「補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されるこ
とはない。」と労働者を保護しているからです。


■ 労働者の不注意による業務上の事故は ─────────────────

 会社がいくら安全対策をとっていても、労働者の不注意から業務上の事故は
起こることがあります。労災保険の給付は労働者本人の過失が原因でも受ける
ことができます。

 労働災害については、会社に過失があるかどうかに関係なく、当然に責任を
負うという、無過失責任主義という考え方がとられているからです。
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社労士法人アイビーウィル
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