お知らせ
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作成日:2015/03/03
★ 年休付与は義務!? ★




「年次有給休暇は労働者の請求があったときに与えるもので、会社のほうから
与えなければならないものではない」

 ハイそうです。ですから請求もないのに年次有給休暇を付与しなければなら
ないというのは、おかしいのですが、どうやら付与義務が課されそうです



■ 重要ポイント ──────────────────────────

 5日の年次有給休暇の付与が使用者の義務になります。


■ 年休に関する相談件数 ───────────────────────

 新潟県内の労働基準監督署に寄せられる相談で、「年次有給休暇」に関する
ものは、「解雇」「賃金不払」について3番目に多くなっているといいます。

 たとえば

・当社に年休制度はないといわれた。
・パートや契約社員に年休は不要であるといわれた。
・自分の年休が何日あるかわからないし、聞いても教えてくれない。
・病気や親族の不幸など特別の理由がない限り年休は使えない、といわれた。
・年休をたくさん使ったらボーナスに響くぞ、といわれた。
・年休を請求して休んだのに、許可がないから欠勤として扱った、といわれた。

 いずれも、法違反あるいは不適切な内容として厚労省のリーフレットで取り
上げられています。


■ なぜ年休の相談が増えているのか ─────────────────

 年次有給休暇の相談がなぜ増えているのでしょう。年休は正社員ばかりでは
なく、パートや契約社員といった雇用契約で働く人にも、6カ月以上の勤務と、
8割以上の出勤率を満たせば、当然に付与される権利です。

 所定労働日数が少なくても、比例計算された日数の年次有給休暇が労働基準
法で保障されているので、小さな会社であっても「わが社には年次有給休暇は
ない」とはいえないのです。

 年次有給休暇を請求されたときに「その日は困るから変えてくれ」という時
季変更権はありますが、年休を取得することは労働基準法が保証する労働者の
権利です。許可を待って付与されるものではありません。

 年休を与えてくれない会社には働く人の不満がつのり、やむなく監督署に
相談し、改善を求めているのでしょう。インターネットで検索すれば、簡単に
年休の知識を得ることができます。


■ 年次有給休暇の取得目標は70% ──────────────────

 年次有給休暇の取得について、政府は目標を掲げています。
 2020年までに70%というものです。

 ところが、2013年度、全国平均で取得率は48.8%、取得日数は9日です。
ここ数年50%に満たない数字で推移しています。

 新潟県については、取得率は40%を下回り続け、取得日数も6日程度で、全
国平均より少ないのが現状です。
 政府目標の達成は困難です。


■ 年休が取得できない理由 ───────────────────

「年次有給休暇の取得に関する調査」(2011年4月、労働政策研究・研修機
構)によると、年休をとり残す理由として以下のことが挙げられています。

・病気や急な用事のために残しておく必要があるから
・休むと職場の他の人に迷惑になるから
・仕事量が多すぎて休んでいる余裕がないから
・休みの間仕事を引き継いでくれる人がいないから
・職場の周囲の人が取らないので年休が取りにくいから
・上司がいい顔をしないから
・勤務評価等への影響が心配だから


■ 年休の権利は労基法の制定当初から ────────────────

 年次有給休暇制度は、労働基準法が昭和22年(1947年)4月に制定されたとき
に設けられました。初年度の付与日数は6日でした。

 昭和62年(1987年)、以下の改正が行われました。
(1) 年次有給休暇の最低付与日数の10日への引き上げ
(2) 所定労働日数が少ない労働者について比例付与制度の創設
(3) 労使協定による計画的付与制度の創設
(4) 年休を取得した労働者に対し、不利益な取り扱いをしないようにしな
  ければならない旨の規定新設

 平成5年(1993年)になって、初年度の年休の継続勤務要件が1年から6か
月に短縮されました。

 さらに平成20年(2008年)労使協定により年5日の範囲内での時間単位の年
休が認められるようになりました。


■ 国が年休の取得促進をする背景 ──────────────────

 雇用者のうち、週労働時間60時間以上の者の割合が8.8%、特に30代男性で17.
2%と高くなっています。

 過労死防止対策推進法が2014年6月に成立し、働きすぎ防止のための取り組み
強化、長時間労働を抑制することが喫緊の課題となっています。

 これらのことが、年次有給休暇の取得を促進する法改正とつながっています。


■ 年5日の年休付与義務────────────────────────

 「年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち年5
日については
、1年以内の期間に、時季を定めて与えなければならないものとす
こと。ただし、労働者の時季指定又は計画的付与制度により年次有給休暇を
与えた場合は当該与えた日数分については、使用者は時季を定めることにより
与えることを要しないものとすること(平成27年2月17日「労働基準法等の一
部を改正する法律案要綱」労働政策審議会労働条件分科会)。」

 使用者が年休を5日付与する義務が労働基準法改正(平成28年4月予定)で課
されることになりそうです。

 年次有給休暇が10日以上である労働者が対象であるということは、パートタ
イマーなども例外ではないということです。


■ 年休管理簿の作成義務───────────────────────

「各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、使用者は、年次
有給休暇の管理簿を作成しなければならないものとすることを厚生労働省令で
定めることとする。」(同上の要綱)

 使用者は、年次有給休暇の管理簿を作成しなければならなくなります。
 違反した場合は、使用者に罰則が科されます。

 年次有給休暇を付与できるようにするための事務負担が増えることと、年次
有給休暇を取得する人の仕事をどう補うかについても今から準備しておく必要
がありそうです。
お問合せ
社労士法人アイビーウィル
〒950-0986
新潟県新潟市中央区神道寺南2-7-43
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