お知らせ
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作成日:2012/12/01
★ どうなる中退共? ★



 チュウタイキョウをご存知ですか。

 多くの中小企業が加入する退職金制度である中退共(=中小企業退職金共済
制度)が、退職金を減額する検討を始めたと報道されました。
            (2012年11月21日 日本経済新聞)

 中小企業の退職金は今後どのように考えればよいのでしょう。


 まずは、本日の結論から  ★多忙な方はここをチェック★★↓↓


■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

  
 たった1%の中退共の利率がさらに引き下げられる様子。

 そもそも退職金は必ず払わなければならない賃金ではありません。

              関連記事はここをクリック! 
                http://sr-onomoto.jp/letter/000049.php

          退職金のあり方が問われています。


■ 減額というけれど利率は今1% +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 減額という見出しが紙面に大きく出ましたが、予定運用利回りは平成14年
(2002年)から現在まで1%です。
 毎月毎月1万円を40年間掛け続けると、総額で480万円掛けることになります。
 480万円もはらい続けて、利率が1%では給付額は591万円です。
 報道によると、1%から0.8%程度まで引き下げることを検討するといいます。


■ 中退共はいつできた? +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 中小企業退職金共済制度(略称:中退共制度)は昭和34年(1959年)に国の中小企業対策の一環として制定された「中小企業退職金共済法」に基づき設けられた制度です。

 単独では退職金制度を持つことが難しい中小企業に対して、事業主の相互扶助の精神と国の援助で、手軽に、安心・かつ有利な退職金制度が持てるようにという趣旨で発足した制度です。
 発足から50年以上も経過していますが、現在、制度の運営は独立行政法人である勤労者退職金共済機構(機構)中小企業退職金共済事業本部が行っています。
 中退共のパンフレットには「何といっても国の制度だから安全・安心、確実・有利」とうたっています。


■ 加入者は327万人 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 平成24年9月現在、加入している企業は36万5千企業、加入している従業員の
数は328万人です。

 サラリーマンは約5,500万人ですから、サラリーマンの16人に1人が中退共に
加入していることになります。


■ 中退共のしくみ +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 「そろそろ退職金制度を作りたいのだが・・・」
と社長さんから相談されたとき、
 「中退共はしくみがわかりやすく、従業員の退職時にあわてなくてよいという意味ではお勧めです」
と説明します。

 従業員一人ひとりに支払う掛け金を決め、金融機関を通じて毎月会社は掛け
金を納めます。
 退職時には、中退共から直接従業員に退職金が支払われます。


■ 中退共のメリット +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 新規加入者に対する国の助成制度があります。

 新しく中退共に加入する事業主に対して、掛け金月額の2分の1(上限5,00
0円)を加入後4か月目から1年間、国が助成します。
 掛金月額は5,000円から3万円まで16種類ですが、短時間労働者は、特別の取り扱いがあり、2,000円、3,000円、4,000円の定額の掛け金で加入することができます。

 「夫の扶養の範囲で働きたいというので、給与額を増やせないパートタイマーがいる」
 そんなときに中退共にはパートタイマーの退職金という制度がありますよとお伝えしています。


■ 中退共のデメリット +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 掛け金の納付が1年未満の場合は退職金は支給されません。1年以上2年未満
の場合は掛け金を下回る給付額です。3年7か月から掛金相当額を上回る額になります。

 離職率の高い会社に中退共は適しません。

 懲戒解雇のときに退職金は減額又は不支給としている会社がほとんどだと思いますが、中退共に減額や不支給を申請しても、かけたお金は中退共が没収し、会社に戻ってくることはありません。


■ 利回りの推移 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 「退職金額は、掛け金月額と掛金納付月数に応じ、中小企業退職金共済法に定められた額とする。」
 中退共制度で退職金額を規定する場合、このようになります。

 平成14年11月から制度全体としての利回りは年1.0%として設計されています。
 昭和61年、利回りは6.6%でした。平成3年から5.5%、平成8年から4.5%、平成11年から3%と低下し、1%に下がったのですが、更なる低下が検討されているというのです。

 利回りは退職金額に大きく反映されます。
 毎月1万円を40年間掛け続けたときの給付額は激減しています。
  6.6%・・・2,255万円
  5.5%・・・1,703万円
  4.5%・・・1,317万円
  3.0%・・・ 919万円
  1.0%・・・ 591万円
 

■ 中退共の財政難の原因 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 中退共の財政状況、資産運用については、ホームページですべて公開されています。
 平成23年度の資産運用はプラス収益となり、当期利益316億を計上、累積欠損は前年度の2,058億円から1,741億円に減少したといいます。
 しかしながら、累積欠損金(積立不足額)の解消には程遠いものとなっています。

 平成17年にたてた財政健全化計画の目標である累積欠損金1,023億円には届くことができず、このたびの減額検討となったようです。


■「安心のために備えよう」という中退共のはずが +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 安全安心を大きな売りに、加入を促進してきた中退共制度。減額が検討されるというこのたびの記事は、退職金制度が足元から揺らぎつつあることを感じさせられます。
 
 
■ 退職金規程の見直しを +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 「退職金制度なしでは、求人できない。退職金制度は設けていたい」
 「頑張って長年勤めてくれた従業員には1,000万円くらいの退職金は支払いた
い」
 こういったお考えを否定するつもりはまったくありませんが、ここ20年の金利の低下をみて、今一度考え直すべきときなのかもしれません。


 「今後も長期にわたって支払える金額の退職金制度ですか」
 

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