「うちの会社は製造業。最近、飲食店の経営もはじめた。
飲食店は夜9時ころまで、日曜祭日なく営業している。
どのような労働時間とするのがよいのでしょう?」
飲食店で小規模であれば、1週44時間が認められています。
1週40時間が労働時間の大原則ですが、飲食業などでは44時間が許されているのです。
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■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
1週の労働時間44時間が認められている業種、事業所規模がある。
事業所規模とは会社の規模、従業員数ではない。
飲食店、美容院、クリニックなど10人未満なら44時間でもかまわない業種である。
■ 44時間が許される業種+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
法定労働時間が1週40時間、1日8時間となっているなかで特別な扱いが許されている業種があります。以下の4つです。
(1) 商業(卸売業、小売業、理美容業など)
(2) 映画・演劇業
(3) 保健衛生業(病院、診療所など)
(4) 接客娯楽業(旅館、飲食店など)
これらの業種で、労働者が10人未満であれば、労働時間は40でなく44時間でよいのです。
飲食店(店舗ごとにひとつの事業所と考えます)で働く従業員が9人以下であれば、会社全体の従業員数にかかわらず、所定労働時間を1週44時間とすることができるのです。
■ パートは人数に入れる?+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
10人か9人かで 40時間か44時間でもよいかということになりますが、人数にはパートタイマーを入れるのでしょうか。
「労働者数の判断は、当該事業場の通常の状況によって判断するものである」という通達があります。
パートタイマーであっても、臨時でなく、継続的に働いているのであれば、労働者の数に入れなければなりません。
■どのように週44時間とするか+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
では具体的にどのように44時間の労働時間とすればよいでしょう。
週のうち月曜から金曜を8時間とし、土曜を4時間とする、あるいはまた、1日はいつも8時間とし、2週間で休日を3日とするなどの方法があります。
飲食店の場合、2週間ごとに休日を3日としてシフトを組み、1日の所定労働時間は午後の休憩時間を長くとって8時間とするのがよいと思います。
■ 製造部門では1年変形で40時間としているが+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
同じ会社内で 部門により採用している労働時間制度が違ったり、所定労働時間が違ったりしても、法的な問題はありません。
異なる部門で人事異動があると会社の労務管理が難しくなるという問題が少し残るかもしれません。この会社では製造と飲食での異動はないということでした。
製造部門に適用される就業規則と飲食部門に適用される就業規則とを別々に作成し、それぞれの従業員に周知しておけば、問題はありません。
■ 40時間と44時間のコストの違い+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
1年を52週とします。(正確には52.14週)
40時間ならば52をかけて1年間の労働時間は2080時間となります。
1カ月あたりでは2080を12で割って約173時間です。
一方、44時間ならば1年で2288時間、1カ月は約190時間です。
40時間なら最低1カ月の所定労働時間が173時間なのに対し、44時間では1カ月190時間が1カ月平均の労働時間となります。
所定労働時間を44時間とすることができれば、1時間あたりの残業代や有給休暇をとったときのコストも大きく削減できます。
■ まとめ +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
9人以下なら業種により、週44時間労働が認められています。
飲食店ばかりでなく、美容院、小売の店舗、医院や診療所も労働時間の特例が認められている業種です。
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