お知らせ
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作成日:2011/09/01
★ 2013年に備えよう! ★



 60歳になると年金が少しもらえるようになり、数年後には年金が増える・・・

 今まではそうでしたが、2013年になると(2013年度に60歳になる人から)60歳になっても年金は1円ももらえません。(男性の場合。女性は5年遅れとなります)

 従業員の退職年齢をふまえた対策はとられていますか?
 まずは、本日の結論から  ★多忙な方はここをチェック★★↓↓

■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 60歳定年後年金が1円ももらえない、そんな2013年が目前となった今、60歳からの雇用をどうするか、改めて考えてみるべきです。


■ 定年とは+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 一定の年齢に達したときに、労働契約が終了しますというキマリが、定年制です。

 定年に達すると当然に労働契約が終了します。働き続けたい人も自動的に退職とするしくみが定年制です。かつては55歳定年制もありましたが、現在では定年を定める場合には60歳以上としなければなりません。

 また、年金支給開始年齢まで働き続けることができるようにと、高年齢者雇用安定法が平成16年に成立、18年より段階的な実施が義務付けられました。年金(定額部分)の支給開始年齢の引き上げに合わせて、平成25年までの間に65歳までの雇用確保措置をとらなければなりません。

 定年は年齢に基づく差別という見方もできる一方、定年までは雇用が保障される、めったなことでは解雇されないという、労働者にとって安心感・メリットもある制度ともいえます。

■ 定年制と裁判例+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 60歳は若い、昔の60歳とは違う・・・という実感が多くの人にあると思います。

 「およそ定年制は一般に、老年労働者にあっては当該業種又は職種に要求される労働の適格性が逓減するに係らず、給与が却って逓増するところから、人事の刷新・経営の改善等、企業の組織及び運営の適正化のために行われるものであって、一般的にいって不合理な制度ということはできない」(秋北バス事件 最高裁 大法廷 昭43.12.25判決)

 このように最高裁で定年制の適法性を肯定しています。


■ 雇用確保措置とは+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+


 65歳未満の定年を定めている事業主は、定年制を廃止するか、定年を65歳まで引き上げるか、65歳までの継続雇用制度を導入するかいずれかのことをしなければなりません。

 定年制の廃止や、65歳まで定年を引き上げるといったことはなかなか多くの会社ではできません。その場合、65歳までの継続雇用制度をたとえば以下のように設けることになります。

 「60歳に達した日の属する賃金締切日をもって定年退職とする。継続雇用を希望する者は、60歳以降、1年ごとの契約更新により65歳まで(平成25年3月31日までは64歳までの実施義務)雇用する」 

 60歳を定年とし、その後は一人ひとりと労働条件を見直して、雇用契約を新たに結ぶことで、60歳以後の雇用を維持すれば、高年齢者雇用安定法に違反することはありません。このような規定は今後もお勧めです。


■ 職安からの給付「高年齢雇用継続給付」とは+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 労働条件を見直して雇用契約を新たに結び、賃金を下げるのであれば、高年齢雇用継続給付のことをきちんと知るべきです。

 高年齢雇用継続給付とは60歳になって賃金が大きく下がると、職安から本人にもらえるお金のことです。
 従業員本人の口座にお金が振り込まれるのですが、賃金台帳や出勤簿の提出が伴うため、事業主がすることが求められている手続きです。

 賃金が60歳のときと比べて75%未満になったときに支給される給付金ですが、60%に下がると支給率が一番高い15%となります。

 60歳のとき(60歳になる前の6カ月の残業込みの賃金の平均、賞与は含まない)の賃金が30万円だったとしましょう。60歳以降、30万円の賃金が60%の18万円に下がったとすると、18万円の15%である27,000円(1か月あたり)が給付されます。
 70%の21万円では21万円の4.67%である9,807円が給付されます。

 もし、60歳のときの賃金が40万円で、24万円に下がると36,000円が給付されます。
 40万円の70%にあたる28万円に下がると、13,076円がもらえます。

 低下率による給付金の金額を調べ、労働条件を検討しましょう。


■ 60歳以降の継続雇用と労働条件+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 退職金制度のある会社であれば、定年時に退職金を支払うことが一般的です。
 「定年退職時に退職金を支給し、継続雇用者に退職金は支給しない」これが会社にとってリスクの少ない規定です。

 60歳で新しい雇用契約を結ぶときに気をつけなければならないのが、年次有給休暇です。契約はリセットですが、年次有給休暇については継続勤務の実態があるのですから、ゼロからスタートでなく、今までと同様の取り扱いを続けなければなりません。

 「定年退職時に保有する年次有給休暇は、再雇用後に持ち越すこととする。
 年次有給休暇の付与日数の計算上、勤務年数は定年前と定年後を通算する。」

 意外と思われるかもしれませんが、「定年後については、年休を持ち越さない」とすることはできません。

■ 60歳で退職すると失業給付はどのくらい?+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 60歳定年を楽しみにしていた、退職してこんな生活をするのだとバラ色の新しい人生を考えている方もいらっしゃるでしょう。きっぱり定年退職する、そんな方に失業給付はどのくらい出るのでしょうか。

 どんな高額な賃金だった方も、どんなに長く働いた方も、雇用保険の手当には上限があります。

 まず、金額ですが、60歳以上65歳未満であれば最高額が6,777円です。60歳の定年退職であれば、これ以上の日額はもらえません。
 45歳以上60歳未満であれば最高額は7,890円です。(平成23年8月1日現在。この数字は毎年8月1日に変わります)

 次に受給できる日数ですが、雇用保険の被保険者期間により、以下の3種類です。

 1年以上10年未満  == 90日
 10年以上20年未満  == 120日
 20年以上       == 150日
 
 高い賃金で40年以上も働いた方でも、求職活動をして失業と認定された場合に、6,777円が150日=1,016,550円(1か月20万円が5か月もらえるイメージ)ということです。

 
■ 2013年度から気をつけること+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 2013(平成25)年度に60歳になる人は、61歳になるまで、1年間は年金(報酬比例部分)が支給されません。年金支給年齢は年を追うごとに上がっていくことが決まっています。

 60歳以降は賃金と在職老齢年金と雇用継続給付の3本柱で生活を支える仕組みでしたが、これからは賃金と雇用継続給付の2本柱で生活をすることを考えなければなりません。(賃金が下がっても75%以上なら、年金も雇用継続給付も無しです。)

 50代後半の従業員がいる会社では、国の高齢者に対する制度(年金・雇用保険)と、会社の制度を早めにきちんと説明し、個別の労働条件についても早めに合意形成することが一層求められます。

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