「若い社員が入社します。残業込みで18万円と約束しました。休日は毎月日曜
と祝日、それに各人が自由にあと2日休みます。キチンと労働条件を通知した
いので教えてほしい。」
ウーン、この条件だけではチョット難しい・・・。
■ 重要ポイント ─────────────────────────
残業込みで給与を約束するのなら、何時間分の残業代がいくらなのかを明示し
なければなりません。
休日は変形労働時間制を採用することもできますが、1週40時間の法定労働時
間を守らなければなりません。
休憩時間もただ1時間とするという表記は問題があります。
■ 1日の労働時間と休日の数 ───────────────────────
その会社の1日の所定労働時間は8時間で、週ごとに2日の休日は確保できない
ということでした。また、6カ月の有期の契約で採用するということでした。
お勧めの変形労働時間は1カ月変形の労働時間です。
毎月9日の休日とすれば週40時間をクリアできるからです。
31日の月の労働時間：（31−9）×8＝176
31日の月の労働時間の上限は31÷7×40＝177時間
30日の月の労働時間：（30−9）×8＝168
30日の月の労働時間の上限は30÷7×40＝171時間
休日については以下のようにすると定めることにしました。
「休日は毎週日曜日と祝日を含む月9日以上とする」
■ 残業は月何時間？ ─────────────────────────
残業時間は1日1時間から2時間程度、1カ月では40時間くらいになることもある
ということでした。
6カ月の雇用契約期間には夏季休日もあり、1カ月平均の所定労働時間は168時
間でした。月給者の時給単価は1カ月平均の所定労働時間で割って算出します。
残業見込み時間の40時間は1.25倍して50とし、168にたすと218となります。
支払を約束した18万円を218で割ると時間単価が導き出されます。
180,000÷（168＋40×1.25）＝825.6
825.6円が時間当たりの賃金。40時間の残業代は825.6×1.25×40＝41,284円と
なります。基本給は825.6×168＝138,700円 端数を調整し、以下のように
定めることにしました。
「基本給：138,700円、固定残業代：41,300円（40時間分）、合計180,000円
40時間を超えた場合は1時間あたり1,032円を別途支払う。
深夜労働、法定休日労働はない」
■ 休憩時間の表示 ─────────────────────────
始業は9時、終業は18時。休憩時間はお客様相手の仕事なので、何時から何時
までの1時間とはいえない、ただ1時間とだけ書きたいということでした。
休憩時間は、労働時間の「途中」に与えなければなりません。ただ1時間と書
いただけでは、途中に休憩が取れないことも出てくるでしょう。
以下のように労働時間と休憩時間を定めることにしました。
「始業時刻：午前9時、終業時刻：午後6時、休憩時間：正午から午後2時まで
の間の1時間」
■ 休憩時間の法律 ─────────────────────────
労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なく
とも1時間の休憩を与えなければなりません。
8時間ちょうどの労働時間で残業なしあれば45分の休憩でもよいことになりま
す。
休憩時間は分割も認められています。1時間まとめて付与しないで、昼休憩を
45分とし、3時から15分の休憩をとるなどということも、認められます。
休憩時間は労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間で
す。休憩時間に電話対応を強制することはできません。
■ 新入社員とは信頼関係の構築を─────────────────────
自由な雰囲気で本人の個性を生かして働いてもらいたい・・・そんな若い従業
員の多い会社からの質問でした。魅力ある会社に発展してほしいと思います。
そのためにもまずは労働時間や休日、割増賃金の支払について法令を守って信
頼関係のスタートを築いていただきたいものです。
せっかく採用した若い社員が、残業が多すぎるとか、残業代が不明確といった
理由で、退社してほしくありません。
「残業代って高くつくんだな。」
そうですよね〜
