「間もなく子が産まれる男性社員がいるのですが・・・」とある社長。
それでは、出生時両立支援助成金がもらえますよ、もらいましょう!
60万円です。
■ 重要ポイント ─────────────────────────
中小企業で男性社員が連続5日の育児休業をとると、60万円の助成金がもらえ
ます。
■ 助成金の名前は「出生時両立支援助成金」────────────────
この出生時両立支援助成金は、職業生活と家庭生活の両立支援に取り組む事業
主に支給される4種類ある両立支援助成金の一つです。
■ どんなときにもらえるのか ─────────────────────
男性が育児休業を取得しやすいように次のようなことをする必要があります。
・男性労働者に対する育児休業制度の利用促進のための資料等の周知
・子が産まれた男性労働者への管理職による育休取得勧奨
・男性の育休取得についての管理職向けの研修の実施
■ どのくらい休むのか ─────────────────────────
女性の育休は産後休業の次の日からになりますが、男性の育休は子の出生から
可能です。
この助成金は育児休業を子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小
企業は連続5日以上)とることを求めています。
ご相談の企業は中小企業でしたので、5日以上の育児休業で助成金の申請が
できます。
■ 取り組んだこと ─────────────────────────
その会社では女性の育児休業取得の実績はありましたが、男性の育児休業の前
例はありませんでした。
早速朝礼で男性の育児休業の利用促進を推奨するパンフレットを配布して、周
知を図りました。
また「行動計画」に盛り込み、周知を図り、一般事業主行動計画を作成して、
労働局に届け出をしました。
※ 一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策
推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を
図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働
条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目
標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。
従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付
けられています。
■ 注意!休暇を有給にできない ─────────────────────
通常5日程度の休暇は「たまっている年次有給休暇を充てる」労使慣行となっ
ている会社が多いのではないでしょうか。
一般的に育児休業期間は無給として、雇用保険の育児休業給付金を受給します。
通常、会社の育児介護休業規程では無給と定めています。男性も無給です。
■ 休暇に月末日が入っていると ────────────────────
育児休業期間中は社会保険料が労使ともに免除となります。
厳密には、育児休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までです。末日が
育児休業期間に入っていれば1カ月分の社会保険料は徴収されないのです。
30万円の標準報酬月額で新潟県の場合、健康保険料29,370円、厚生年金保険料
54,546円の合計額83,916円が免除となります。休暇取得による賃金の控
除はあっても 毎月負担している社会保険料41,958円は徴収されません。
■ 申請時期 ─────────────────────────
助成金では支給申請時期を間違わないことがとても重要です。
育児休業の開始日から起算して5日を経過する日の翌日から2カ月以内に、「両
立支援等助成金(出生時両立支援助成金)支給申請書」を労働局長に提出しま
す。
後日60万円が会社の指定口座に振り込まれます。
申請が平成29年になるのであれば、平成29年1月1日からの改正法にのっとった
「育児介護休業規程」を整備しておく必要があります。
■ タイミングが重要! ─────────────────────────
ご相談を受けたときが、出産前で実はホッとしました。男性労働者に対する育
児休業制度の利用促進のための資料等の周知は、男性の育休取得の前に行う必
要があるものです。
育児休暇と育児休業という言葉ですが、休暇の長いときに休業といういい方を
しますが、厳密な区別はありません。
出生時両立支援助成金は、タイミングさえ合えば申請が容易な助成金といえそ
うです。