お知らせ
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作成日:2016/11/03
★★ 75歳になると医療保険は? ★★




「75歳になるのですが、医療保険はどうなるのでしょう。働いているので医療
機関にかかったときは3割負担になるのでしょうか。」


■ 重要ポイント ─────────────────────────

 75歳になるとどのような人も後期高齢者医療保険に加入します。被用者であ
った場合は健康保険被保険者証を保険者に返納して市町村から発行される(手
続き不要。郵送されて届く)保険証を使います。医療機関にかかったとき、現
役並み所得者は3割、原則的には1割の医療費を負担します。保険料は個人単位
で賦課され、原則年金から天引きされます。


■ 皆保険の意味 ─────────────────────────

「市町村又は特別区の区域内に住所を有する者は、当該市町村が行う国民健康
保険の被保険者とする」(国民健康保険法第5条)

 すべての国民を住所地の国民健康保険の対象とすると規定されています。そ
の上で、被用者保険に加入する者や生活保護受給者は適用を除外するという仕
組みになっています。

「どの医療保険制度にも入っていないが、病気のときは全額払う」
 制度上は認められていません。


■ 医療保険の制度は大きく3つ ─────────────────────

 医療保険制度はサラリーマンや公務員が加入している被用者保険と国民健康保
険、さらに75歳以上が加入する後期高齢者医療制度があります。

 2008年から75歳になるとすべての人は後期高齢者医療制度に加入することにな
りました。


■ 被用者保険の種類 ─────────────────────────

 被用者保険には組合健保、協会けんぽ、各種共済保険と大きく3種類あります。

 組合健保とは組合管掌健康保険のことで、規模の大きな会社や同業種の会社が
集まって厚生労働大臣の許可を得て作った医療保険を運営する組織です。

 協会けんぽは全国健康保険協会の略称で、2008年10月に全国健康保険協会が設
立され、民間組織として都道府県ごとに支部が置かれ保険の運営がなされてい
ます。

 公務員やその家族は、国家公務員であれば国家公務員共済組合、地方公務員で
あれば各種地方公務員共済組合に加入します。私立学校には私学共済という医
療保険もあります。


■ 国民健康保険の種類 ─────────────────────────

 国民健康保険は市町村が保険者となっている市町村国保と国保組合があります。

 自営業や無職の人たち(被用者国保に加入しない人)は国保に加入します。

 国保組合とは国民健康保険組合のことで、医師や建設土木関係者等が同業種で
組合をつくって医療保険制度を運営しています。


■ 年齢による給付率の違い ───────────────────────

 被用者保険でも国保でも医療機関を受診すると自己負担3割ですみます。70歳
から74歳は原則2割、75歳以上は原則1割負担です。現役並みの所得があると70
歳以上になっても3割の負担です。


■ 被用者保険の保険料 ─────────────────────────

 被用者保険の加入者は加入者である被保険者と家族のための給付に充てられる
保険料(基本保険料)と後期高齢者の支援金等に充てられる保険料(特定保険
料)を合わせて一般保険料として負担しています。

 新潟県の場合、健康保険料率は9.79%ですが、基本保険料率が6.3%、特定保
険料率が3.67%となっています。健康保険料の37%が後期高齢者を支援するた
めに充てられています。
 組合健保も同様に後期高齢者支援の負担をしています。


■ 国民健康保険の保険料 ────────────────────────

 国民健康保険の保険料は市町村により異なりますが、加入者の前年の所得をも
とに、世帯単位で計算され、世帯主が納付義務者となります。

 国民健康保険の保険料は医療分保険料と後期高齢者医療制度支援のための支援
分保険料から成ります。

 国保の計算は複雑ですが、経済的な能力により決定する応能負担(所得割
と資産割)応益負担(均等割と世帯別平等割)の合計が保険料となります。
 

■ 国民健康保険は税金か ────────────────────────

 市町村によっては国民健康保険を国民健康保険税として徴収しています。保険
料か保険税かは市町村が決めてよいことになっています。

 国民健康保険料として徴収する場合は時効が2年、保険税として徴収する場合
は時効が5年という違いがあります。


■ 後期高齢者の保険料 ─────────────────────────

 国内に居住する75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)のすべての方が
後期高齢者医療保険の加入となります。後期高齢者医療制度は都道府県ごとに
市区町村が加入る広域連合が主体となって運営します。その取り扱いの窓口は
市区町村です。

 保険料は世帯単位ではなく被保険者一人一人(個人単位)で、徴収されます。
後期高齢者医療制度の保険料は均等割と所得割の二つの要素で、運営主体であ
る広域連合が保険料を決めます。


■ 後期高齢者と被扶養者 ───────────────────────

 ずーと被用者保険に加入してきた方に被扶養配偶者がいたとします。

 夫が被用者保険から後期高齢者医療保険制度に移行した場合、年下の妻はどの
医療保険制度に加入するのでしょうか。

 75歳以上の被保険者に75歳未満の被扶養者がいる場合、被保険者が後期高齢者
医療制度に移行すると、被扶養者も資格を喪失しますので、国民健康保険等へ
の加入手続きが必要となります。


■ 後期高齢者医療の財源 ───────────────────────

 医療保険は「保険」制度ですが、公費負担を受けて財源が成り立っています。
 
 協会けんぽの保険給付費の16.4%は国が補助しています。

 国保では保険給付費の5割が公費(国庫負担41%、都道府県9%)です。

 後期高齢者医療制度では公費が5割、被用者保険・国民健康保険からの支援金
が4割、被保険者の保険料部分は約1割となっています。

 高齢者の医療費を国、地方公共団体、各医療保険者が共同で負担するしくみ
は、1983年の老人保健法から続いているものです。


■ 高齢者の増加と医療保険の高騰 ───────────────────

 10月26日、総務省の国勢調査の数字が発表になりました。それによると、75
歳以上の人口は1612万人と総人口の「8人に1人」を占め、14歳以下の子どもの
数を上回ったといいます。これからますます75歳以上の高齢者は増え、医療費
を高騰させることは確実です。
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