お知らせ
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作成日:2015/12/29
★ 均等室が来ると? ★



「男女雇用機会均等法及びパートタイム労働法に基づく報告徴収をしたい」
「育児・介護休業法に基づいて報告徴収したい」といった書面が労働局長名で
会社に届くことがあります。

 都道府県の労働局長の印が押されいる書面ですが、担当部署は労働局の雇用
均等室です。

 職安や監督署と違い、都道府県に一つしかない役所です。均等室は下部機関
のない組織です。

 均等室の調査にはどのように対応すればよいのでしょう。


■ 重要ポイント ───────────────────────────

 均等法は努力義務だったことが義務となるなど改正されてきました。パート
法や育介法も社会的な要請を受けて近年改正されています。それに伴い均等室
の報告徴収も増えてきています。


■ 雇用均等室とは ───────────────────────────

 雇用均等室は各都道府県にある労働局の機関で、均等法などに係る行政を取
り扱っています。

 労働省(厚生労働省ではありませんでした)発足当時、婦人問題と年少労働
者の問題を扱う組織として本省に婦人少年局ができ、下部機関として都道府県
労働局に婦人少年室が置かれました。その後婦人少年室は女性少年室と名称を
変え、さらに現在は雇用均等室となっています。
 
■ 均等室の扱う法律 ──────────────────────────

 雇用均等室の取り扱う主な法律は

 男女雇用機会均等法

 育児・介護休業法

 パートタイム労働法  です。


■ 雇用均等室の業務 ──────────────────────────

 雇用均等室では

・均等法等上記の3つの法律の周知徹底

・法律についての事業主への指導

・労働者や事業主からの法律、助成金制度、トラブル等に関する相談受付

・説明会、セミナー等の開催

・労働者と事業主との間の紛争解決援助

が主な業務であるとされています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/roudoukyoku/


■ 均等室の職員 ───────────────────────────

  都道府県労働局の雇用均等室の職員には常勤と非常勤がいます。

 常勤職員としては雇用均等室室長、地方機会均等指導官、地方女性労働者福
祉専門官などで、そのほかに、労働局長により任用(嘱託)された、任期1年
の非常勤の国家公務員である雇用均等指導員などが配置されています。社労士
の資格を持つ指導員もいます。


■ 均等法の報告徴収 ─────────────────────────

 均等法29条第1項は「厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると
認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告を
することができる」と定めており、報告徴収を求めるときの根拠となっていま
す。


■ パートタイム労働法の報告徴収 ───────────────────

 パート法18条1項は「短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があ
ると認めるとき」に報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることがで
きると定めています。


■ 育児・介護休業法の報告徴収 ────────────────────

 育介法56条は均等法の29条と同様に、法律の施行に関し必要があると認める
とき、報告を求め、助言、指導若しくは勧告をすることができると定めていま
す。
 報告徴収にあたっては、ヒアリング票があらかじめ示され、その内容に沿っ
て調査が行われます。


■ 均等法が求めていること ──────────────────────

 男女雇用機会均等法は

 ・性別を理由とする、採用や定年や解雇の禁止

 ・間接差別(性別以外の要件であっても、実質的に性差別となるおそれがあ
る措置)の禁止

 ・職場におけるセクシャルハラスメント防止措置義務

 などを定めています。


■ パートタイム労働法が求めていること ────────────────

 パートタイム労働法は、通常の労働者との待遇が均衡のとれたものであるこ
とを求めています。

 労働時間が短い労働者であっても、通常の労働者と同様の教育訓練の実施を
求めています。(努力義務)

 パートタイム労働者の雇い入れ時には、労基法の求める労働条件の明示の条
項に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」を明示する義
務が課せられています。


■ 育児・介護休業法が求めていること ─────────────────

 育介法は、育児休業・介護休業の付与義務のほか、子の看護休暇・介護休暇
の付与義務を定めています。該当者から請求があった場合には、時間外労働の
制限や深夜労働の制限を課しています。また、短時間勤務措置も義務です。報
告徴収があった場合には、会社の育児・介護休業規程が調査員にチェックされ
ます。


■ 均等室が来るのはどんなとき ────────────────────

 「なぜうちの会社が選ばれたのだろう」 よく受けるご質問です。

 行政指導が入るきっかけは「労働者からの申し立て、第三者からの情報」に
基づく場合と、均等室の「権限」として行われる場合があります。


■ 違反があると・・・ ────────────────────────

 報告徴収を受けて違反や望ましくない状況があると、「助言」を受け、改善
されないと「指導」を受けることになり、さらに改善がないと「勧告」が行わ
れます。

 勧告を受けても従わなかった場合には、企業名公表の対象となるとしていま
す。

 報告の求めに応じなかったり、虚偽の報告を行った事業主に対してはそれぞ
れ20万円以下の過料が科されると定められています。(パート法は20万円でな
く10万円)

 なお、過料とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して
科される金銭的制裁(秩序罰)です。


■ 初めての企業名公表事案 ──────────────────────

 今年9月、均等法の違反があった事業所名が公表されました。均等法違反の
企業名公表は初めてのことでした。

 妊娠を理由に女性労働者を解雇し、解雇を撤回しなかったということで、茨
城県にある医療法人の名前が公表されました。3月に茨城県労働局長による助
言、指導にも是正報告がなく、5月の勧告も是正がされなかったため7月に厚生
労働大臣による勧告書が交付されました。それでも是正報告がなかったという
経緯での公表でした。

 違反条項は、均等法9条3項です。妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利
益取り扱いは禁止されています。


 均等室が行う報告徴収の実施状況については、ホームページで公表されてい
ます。http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/sekou_report/

お問合せ
社労士法人アイビーウィル
〒950-0986
新潟県新潟市中央区神道寺南2-7-43
TEL:025-385-7771
FAX:025-385-7579