お知らせ
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作成日:2015/12/14
★ 130万円の壁は崩壊する? ★



 扶養家族の判断基準として、130万円の壁といわれるものがあります。

 年収見込みが130万円未満の主婦らは会社員や公務員の配偶者の扶養家族とさ
れ、健康保険料と厚生年金保険料の支払い義務がありません。 

 パートタイマーには高い壁となっていて、130万円を超えたくない人が多くい
ます。
 この壁を低くしよう、崩そうとする動きがあります。


■ 重要ポイント ───────────────────────────

 パートタイマーの社会保険加入者を増やすため、社会保険に加入して手取
りが減らないように働きかけよう(賃金アップ、労働時間アップ)、
そのためにキャリアアップ助成金を拡充しようと経済財政諮問会議で議論さ
れています。

 パートタイマーがいる会社は、動きを注視していきましょう。


■ 週25時間働くと・・・【ケース1】──────────────────

 時給1,000円で週25時間、年間50週として1250時間働くと1,250,000円の年収
となりますが、130万円の壁を超えないので、社会保険料の負担はありません。
(雇用保険と税金の負担はあります)

 配偶者の健康保険の扶養家族となり、国民年金も第3号被保険者となり保険料
負担がありません。

 このような人を雇用する会社は雇用保険だけを負担すればよいのです。

 労使ともに満足している【ケース1】は多いと思います。


■ 週28時間働くと・・・【ケース2】──────────────────

 時給1,000円で28時間、年間50週として年1400時間働くと、1,400,000円の年
収となります。壁を超えるので、配偶者の扶養になることはできません。

 会社は社会保険に入る義務がないので(フルタイマーの労働時間の4分の3に
満たないので)自分で国民年金と国民健康保険の負担をしなければなりません。

 国民年金だけでも月15,590円(平成27年度)ですから、この労働時間と年収で
積極的に働きたいと思う人はいないでしょう。


■ 週30時間働くと・・・【ケース3】──────────────────

 時給1,000円で30時間、年間50週として年1,500時間働くと、年収は
1,500,000円となります。
 社会保険の負担を伴う働き方なので料率を14.5%で計算すると217,500円、
社会保険控除後は1,282,500円です。

 週25時間で働いていた時の手取りとあまり変わらなくなってしまいます。

 会社も同額の社会保険料を負担します。この条件で雇用する会社は、正社員
同様の14.5%の法定福利費を見込まなければなりません。


■ 社会保険の被扶養者の問題点─────────────────────

 社会保険の被扶養者でいられるメリットは、配偶者が社会保険に加入してい
る公務員か会社員の場合に受けられるのであって、シングルの場合や配偶者が
自営の場合はあてはまりません。


■ パートの社保の適用拡大───────────────────────

 501人以上の規模の会社では平成28年10月から以下のすべてを満たす場合に、
社会保険の加入を義務付けられます。

 (1)1年以上の雇用の見込み

 (2)週の所定労働時間が20時間以上

 (3)月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)

 ですから、週25時間で働く【ケース1】の場合、501人以上の会社に勤めてい
ると社会保険に加入となり、その負担額は働く人と会社それぞれ18万円以上と
なります。

 501人以上で【ケース2】であれば、本人は国民年金、国民健康保険ではなく
厚生年金、健康保険となって、給与の手取りは減りますが、年収に占める社会
保険料の負担額は減るでしょう。

 なぜなら標準報酬月額11万円の場合の厚生年金の保険料負担は9,805円(保
険料率17.828%で折半の場合)一方、国民年金保険料は15,590円だからです。

 【ケース2】の会社は140万円の人件費のほかに14.5%相当の20万円以上の法
定福利費の支出となります。


■ キャリアアップ助成金の処遇改善コース────────────────

 現在、キャリアアップ助成金には処遇改善コースがあり、次のような場合に受
給できます。

 すべての有期契約労働者等の賃金テーブルを2%以上改定した場合・・・1人
当たり3万円

 一部の賃金テーブル等を増額改定した場合・・・1人当たり1.5万円


 賃金テーブルの改定は1回ひとりのことではないので、処遇改善コースは慎
重に考えるべきでしょう。(使い勝手がよい助成金とはいえません)


■ キャリアアップ助成金の短時間労働者の週所定労働時間延長コース────

 労働者の週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長し、社会保険を
適用した場合、1人当たり10万円がもらえます。

 たとえば25時間から30時間に、【ケース1】から【ケース3】に変更したとし
ます。

 社会保険の会社負担はゼロから217,500円になりますから、助成金をもらっ
ても全く合わないということになります。


■ 助成金増で130万円の壁を崩そう?───────────────────

 12月7日の経済財政諮問会議では、収入が増えても社会保険料負担のために手
取りがないことのないよう検討するとしています。

 諮問会議の表現では130万円の壁を乗り越えてほしいという言い方をしていま
す。

 現在のキャリアアップ助成金の処遇改善コース、労働時間延長コースが拡充さ
れるのではないでしょうか。

 助成金の要件をわかりやすく説得力のあるものしてもらわないと、新しく106
万円が壁になってくるかもしれません。
お問合せ
社労士法人アイビーウィル
〒950-0986
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