お知らせ
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作成日:2015/12/02
★ 65過ぎも雇用保険に加入! ★



「65歳になった人を雇用しましたが、雇用保険料はどうするんでしたっけ?」

 65歳を過ぎた人を新たに雇用しても雇用保険に加入することはできません。
雇用保険料の負担もありませんが、給付も受けられません。失業しても手当を
受けることができません。

 この制度、来年度改正が確実になってきました。


■ 重要ポイント───────────────────────────

 雇用状況の変化を受けて、65歳過ぎの人の雇用保険加入が可能となる見込み
である。


■ 雇用保険制度の役割─────────────────────────

 労働者が失業したとき、生活に困ることがないよう必要な給付をすることが
雇用保険法の大きな目的です。

 憲法27条第1項は、年齢による差をもうけることなく、すべての国民に勤労
権を保障しています。国は労働者が労働の機会を得られるように労働市場の体
制を整え、労働の機会を得られない労働者に対しては生活を保障する義務を負
います。

 雇用保険法は「労働の機会を得られない労働者に対し生活保障する」という
目的があります。


■ 雇用保険に加入する人────────────────────────

 保険制度ですから加入するには要件があり、保険料を負担して、給付を受け
ることができます。

 一時的にお金がほしくて働く人や昼間の学生に雇用保険制度は関係がありま
せん。

 加入要件には、所定労働時間の長さや継続して雇用される見込みはどうかと
いう基準があり、数回適用の基準が改正されました。

 現在は

 (1) 所定労働時間が週20時間以上

 (2) 雇用期間が31日以上(見込み)

の場合、雇用保険に加入します。


■ 雇用保険の失業給付─────────────────────────

 失業給付(雇用保険法では、求職者給付の基本手当といいます)は1年以上
雇用保険に加入していて失業すると受けられます。

 働いていた時の賃金日額の5割から8割のお金(基本手当)が、90日から150
日間(自己都合の場合)もらうことができます。


■ 65歳過ぎると───────────────────────────

 この加入要件や給付日数は65歳を過ぎて新たに雇用された人には当てはまり
ません。

 65歳前から同じ会社で引き続き働き続ける場合は雇用保険の被保険者(高年
齢継続被保険者)となり続けます。また64歳を超えた人の雇用保険料は労使と
もに免除されています。

 65歳前から働いていて、65歳を過ぎて失業した場合、失業給付は65歳前とは
全く異なり、基本手当の30日分か50日分の一時金(高年齢求職者給付金)とな
ります。

 その後再就職をしても雇用保険に加入することはできません。



■ 65歳で特別扱いの理由────────────────────────

 現在の雇用保険の制度は昭和59年の改正によるものです。

 65歳以上を特別な扱いとした理由は以下です。

 (1)65歳以上の者については、労働生活から引退する者が大半である。

 (2)65歳以上の者については、就業を希望する場合でも短時間就労等が多い。

 (3)65歳以降新たにフルタイムの仕事に就きその後離職してフルタイム就労
   を希望する者はきわめて少ない。

 また、基本手当の支給は、受給資格者が雇用保険の被保険者となる雇用を希
望するという前提になっていて、公共職業安定所で4週間に1回ずつ認定を受け
職業紹介を受けるというシステムになっていますが、65歳以上の離職者にはこ
のシステムが合理的でないとされたのです。


■ 昭和59年と現在の状況────────────────────────

 昭和59年当時と現在を比べてみると、65歳以上の雇用者数は71万人だったのに
対し、320万人と4.5倍になっています。65歳以上の新規求職者数は84千件だった
のに対し、431千件と5倍以上になっています。

 平均寿命の延び、年金受給年齢の引き上げ、不十分な年金額など雇用環境は激
変しています。

 労働力不足の面からも65歳以上の方への期待が高まっています。


■ 予定されている改正の内容──────────────────────

 雇用保険の改正案では、65歳以上の高齢者が新規で雇用保険に加入できるよ
うになります。加入すると失業した場合、一時金として基本手当の50日分(最
大)が支給されます。

 65歳以上の者については数年間、労使が負担する保険料が免除される予定です。

 64歳を超えた人の雇用保険料が免除されていますが、同様の扱いとされます。

 一時金(高年齢求職者給付金)をもらっても受給している年金が減額されるこ
とはありません。

 あくまでも求職の意思がある人に支給される給付金なので、求職活動について
は内容や活動日等を申告してもらい、確認を厳格にして不正受給を防止する対策
がとられるといいます。


■ 雇用保険の保険料──────────────────────────

 雇用保険の保険料は従業員(被保険者)が千分の5を負担し、事業主が千分の
8.5を負担します。

(建設の事業、農林水産・清酒製造の事業では料率が違います)

 賞与を支払ったときにも雇用保険料はかかってきますが、基本手当の金額を算
出するときには賞与分は考慮されません。

 失業等の給付に関しては千分の5ずつの保険料が使われ、雇用保険二事業(雇
用安定事業および能力開発事業)に事業主のみが負担している千分の3.5の保険
料が充てられています。


■ 雇用保険の財政───────────────────────────

 労使が折半で負担している失業等の給付の財政の積立金の残高は過去最高の
6兆2,856億円(平成26年度末)となっています。

 平成13年には失業保険の受給者が111万人で14年の積立残高は4億円まで減
りましたが、昨年度は失業保険の受給者が47万人にまで下がったことが残高増
の原因です。

 各種の助成金の財源ともなっている雇用保険二事業の財政も8.3億円の残高と
安定した状況になっています。

  参考 2015年11月25日第108回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会 資料
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