お知らせ
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作成日:2015/07/20
★ 賞与をどう払う?  ★



 夏季賞与の支払い時期となりました。

 働いている人にはとても楽しみなもの、払う側には何かと悩みの多いのが賞
与ではないでしょうか。


■ 重要ポイント ───────────────────────────

 賞与は毎月の給与と違い、支払いについて労働基準法の制限をうけない。

 年俸制をとるときや、社会保険料の控除など、取り扱いを間違わないように
しよう。



■ 賞与は労働の対償───────────────────────────


 労働基準法では労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを賃
金と定義しています。賃金とは、「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいか
んを問わない」もので、報酬として支払うものです。

 賞与も賃金ですが、フツウの賃金のように毎月1回以上、一定の期日を定めて
支払わなければならないものではありません。


■ 賞与は経営者に裁量がある賃金─────────────────────

 毎月の賃金については最低賃金法の適用があり、法定時間外労働に対しては
割増賃金の支払いもしなければなりません。

 けれども賞与は「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて
支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないものをい
う」(労基法通達)です。さらに通達は「定期的に支給され、かつその支給額
があらかじめ確定しているものは、名称のいかんにかかわらず、これを賞与と
はみなさないこと。」といっています。

 賞与はアップダウンがあるもの、支払う支払わないも勤務成績等によるもの
なのです。


■ 年俸給与を14等分して払うとき────────────────────

 年俸400万円という約束をして、毎月30万円の月額給与12回と、7月と12
月に20万円の賞与を支払うとした場合、この20万円の賞与は「定期または臨
時に支払われ、あらかじめ支給額が確定されていないもの」とはなりません。

 支給額が確定している賞与は労働基準法にいう賞与ではないので、割増賃金
はこの「賞与」部分を含めて確定した年俸額を残業代の計算基礎として支払わ
なければなりません。


■ 社会保険と賞与───────────────────────────

 社会保険では労働基準法とは違った賞与の取り扱いがあります。回数に制限
があることです。

 標準賞与額(千円未満を切り捨てた額)の対象となる賞与とは、賃金、給料、
報酬、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受け取るもののう
ち年3回以下支給のものです。

 年4回以上支給されるものは、標準報酬月額の対象とするという取扱いです。


■ 賞与の社会保険料──────────────────────────

 賞与を支給した時、社会保険料の負担があります。

 社会保険料の額は、賞与額の千円未満を切り捨て、料率を掛けます。


 頑張って働いてくれた若い人に100万円の賞与を支給したとします。
 
 健康保険は9.86%(新潟県)、厚生年金は17.474%ですので、合計
27.334%で、273,340円の社会保険料を負担しなければなりません。
(この金額を従業員と会社が折半負担)

 会社は別途子ども・子育て拠出金として、0.15%の拠出金も負担しなけれ
ばなりません。

 月々の厚生年金保険では報酬の上限を62万円としています。仮に100万円
の賃金(月報酬)を支払っても、厚生年金保険料は62万円の人と同じです。

 ところが賞与の厚生年金の上限は150万円。

 厚生年金の負担は重荷となります。


■ 退職月の賞与の社会保険料──────────────────────


 賞与の支払が7月にあったとして、その月に退職(資格喪失)したとします。
(7月20日退職で、7月21日資格喪失など。)この場合、7月は社会保険に加入
していない月になり、社会保険料の負担はありません。


■ 産前産後・育児休業と賞与の社会保険料────────────────

 産前産後休業・育児休業で休業している人に賞与が支払われた時も、注意が
必要です。

 産前産後休業・育児休業を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属
する月の前月までについては、社会保険料が免除で、賞与の保険料負担はあり
ません。


■ 雇用保険料は賞与にもかかる─────────────────────

 雇用保険の様々な給付(失業した時の求職者給付、高年齢雇用継続給付、育
児休業給付)を決定するときには、毎月の賃金が対象で、賞与は考慮されません。

 けれども賞与からも雇用保険料を控除して支払わなければなりません。従業員
が負担する雇用保険料率は1000分の5ですが、100万円の賞与をもらった時には
5,000円という大きな負担となってしまいます。(会社は支払額に1000分の8.5
の負担です。)


■ 賞与は自由に支給できるといっても・・・───────────────

 賞与の支給は経営者に自由裁量があるものとはいえ、労働基準法や社会保険の
仕組みを知っておく必要があります。

 一生懸命やっている社員とそうでない人に差をつけたいときに、いきなり月の
基本給で差をつけるのではなく、まず、賞与額に反映させることがおススメです。


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社労士法人アイビーウィル
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