お知らせ
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作成日:2015/06/18
★ 賞与は年金を減らす! ★



 「60歳過ぎた方に賞与を払うと、年金が減るのですか。」

 60歳になっても年金がもらえない昭和28年5月生まれの男性に賞与を払っ
たところ、年金がもらえる今61歳なって、本人から「年金がもらえない」と言わ
れて戸惑っていると問い合わせがありました。

 年金のしくみをよく知らないと折角払った賞与のことでトラブルになりかね
ません。


■ 重要ポイント ───────────────────────────

 雇用継続給付金は賞与を支払ってももらえる。

 年金は賞与を払うと1年後の年金を減額する。


■ 40万円を24万円に下げると──────────────────────

 【60歳を定年とするが、継続雇用の希望者は労働条件を1年ごとに見直して65
歳まで継続雇用する】  広く採用されている制度です。

 仮に60歳になったときの給与が40万円で、60歳定年後24万円に下げたとしま
す。

 60%に減額ですから、雇用保険から雇用継続給付金が24万円の15%である
36,000円もらえます。昭和28年4月2日以降生まれの男性は60歳になっても年金は
もらえません。

 1年間は年金はなしで、月24万円の給与と36,000円の給付金のみです。


■ 賞与をどうするかはいろいろ─────────────────────

 賞与はもともと会社の経営状況や本人の会社への貢献度により支払うもので、
60歳以降の定年を過ぎた従業員に賞与をどう払うかは本人との契約によります。

 定年後の従業員に賞与を支払う会社は多くないと思いますが、払う会社ももち
ろんあります。


■ 60歳で賞与ゼロのときの61歳からの年金────────────────

 仮に61歳で退職してもらえる年金が120万円、60歳の定年から1年間の賞与が
ゼロとします。

 前提は60歳になったときの給与が40万円、61歳の給与が24万円です。

 年金120万円の月額は10万円で、この月額の年金を年金月額といいます。給与
と年金月額を足すと34万円で28万円を6万円超えています。

 【28万円を超えた額の半分の金額を年金から引く】
 これが働きながら年金をもらうときのきまりです。

 本来の年金の10万円は6万円の半額が減額されて7万円になります。雇用継続
給付金を受給しているので、さらに24万円の報酬月額の6%の14,400円が減額
されて年金は55,600円になります。

 61歳で在職していると、給与24万円のほか年金55,600円、雇用継続給付金
36,000円がもらえます。


■ 60歳で年間賞与120万円のときの61歳からの年金────────────

 在職老齢年金(働きながらもらう年金)は、もらおうとする月から遡って1年
の間に賞与をもらうと年金計算が複雑になります。

 在職老齢年金は年金の12分の1と総報酬月額相当額で決まります。この総報酬
月額相当額とは給与月額とその月以前1年間の賞与の合計額の12分の1を足した
ものです。ですから、120万円の賞与をもらった場合、給与が24万円でも総報酬
月額相当額は34万円になります。

 年金の10万円と総報酬月額を足して44万円ですが、28万を引いて16万円です。

 16万円の半額の8万円が引かれて、年金は2万円となりますが、継続給付金の調
整額の14,400円がさらに減額され、年金は5,600円に減ってしまいます。


■ せっかく払った賞与なのに──────────────────────


 賞与ゼロと賞与120万円の違いは1年後の年金月額55,600円と5,600円の違いと
なってきます。賞与は1年後の年金を減らすのです。

 1年ではなんと60万円の減額です。120万円の賞与は1年後、その半分の60万円
の年金減額となってしまうのです。

 120万円の賞与が支給された時の手取りは社会保険料と税金を引かれると8割が
相場です。

 120万円の2割の24万円(賞与に対する社会保険料と税金)と、年金減額の60万
円を引くと36万円。

 賞与を払うとこのように実質手取り額で3割になってしまうのです。


■ 継続給付金と年金の仕組みの違い────────────────────

 雇用保険の継続給付金は、賞与額を考慮しません。60歳到達時の賃金に対して、
減額幅で決定されます。

 ところが年金は、1年前からの賞与の合計額の12分の1を給与に加えて考えます。
1年後に年金をもらうのであれば、この賞与の仕組みを説明し理解を得ておく必要
があります。

 それにしてもこの仕組み、会社は「せっかく払ったのに」、従業員は「せっか
くもらったの」にと双方に割り切れなさが残ります。


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