お知らせ
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作成日:2010/11/05
★ パワハラにご注意 ★



 「会社を辞めろ。死ね。」と激しく叱責された43歳の男性がうつ病になり、会社ビルの6階から飛び降り自殺・・・そんな悲しい事件が労災認定された(平成22年10月18日、東京地裁)というニュースがありました。 
 こんな事件が後を絶ちませんが・・・

 まずは、本日の結論から  ★多忙な方はここをチェック★★↓↓

■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 パワハラはここ数年の労働環境の変化に伴い増加しています。
 うつ病を発症、自殺にいたった事件が業務上とされ労災と認定されることも少なくありません。

■ 程度を超えた叱責+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 1999年(平成11年)に自殺した出光タンカー(東京)の男性社員(当時43歳)の遺族が、自殺は上司の激しい叱責が原因だとして、国に対し労災と認めなかった処分の取り消しを求め争っていました。東京地裁は18日、請求を認め、労災と認定しました。

 裁判長は、直属の上司による叱責は
 (1)ほかの人が見ている前で公然と行った
 (2)感情的表現が多く「死ね」などの暴言もあった
 (3)他の部署からも注意を受けるほどだった
ことなどから、企業での一般的な水準を超えていたと指摘しました。
 さらに「同僚や別の上司らに改善を訴えても状況が改善されず、男性の心理的負荷は精神的な障害を起こすほど過重だった。自殺は業務が原因である」と結論付けました。

 男性は97年7月から出光興産から子会社の出光タンカーに出向して経理業務をしていました。99年7月ごろうつ病になり、同26日自殺。遺族は労災申請しましたが、不支給となっていたものです。
 この判決の少し前15日、厚生労働省は業務上のストレスが原因でうつ病などの精神疾患になった人の労災認定を迅速化するための『判断指針』を改正すると発表しています。

■ 程度を超えた叱責はパワハラ+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 職場での人格を踏みにじる叱責はパワハラということができます。
 「パワハラ」は、「パワー・ハラスメント」の略語で、クレオ・シー・キューブ代表岡田康子氏らが考えた造語です。マスコミで取り上げられるようになり、パワハラという言葉が広まりました。
 「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人権と尊厳を傷つける言動を行い、就業者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」と定義されています。

■ 上司が部下に対して行うものだけではないのがパワハラ+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 「仕事上の立場を使ったいじめ」がパワハラといえますが、ときには若い上司に古参のパートタイマーがパワハラということもありえます。
 「職場で、地位や人間関係で弱い立場の相手に対して、繰り返し精神的又は身体的苦痛を与えることにより、結果として働く人たちの権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」(職場のハラスメント研究所)という定義もあります。

 職場とは広く業務を行う場所のことをいい、仕事で出かける取引先の事業所も含まれますし、また、会社の懇親会などの場所も含まれます。
 合理的な業務命令の範囲を超えて叱責を繰り返すことは、人格や名誉を傷つける行為でありパワハラといえます。

■ パワハラは日本だけではない+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 パワハラは英語ではなく和製英語です。パワハラは日本特有のものでしょうか。
 モビングmobbing(ドイツ、スウェーデンなど),モラルハラスメントmoral harassment(フランス)などのことばで同様の問題があり、調査や法的規制がとられています。

■ パワハラ(いじめ・嫌がらせ)相談件数は近年増加+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 労働局の総合労働相談コーナーに寄せられる相談件数は年々増加しています。
 労働基準法の違反を伴わない民事上の相談内容では、解雇、労働条件の引き下げに続き、いじめ・嫌がらせが3番目に多い件数となっており、その割合はここ数年増加しています。
 日本労働弁護団が行った労働相談(2010年6月)では、賃金不払いについで、いじめ・嫌がらせの相談件数が多かったと報告されています。

■ パワハラの背景+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 近年増加しているパワハラの背景として、次のようなことが指摘されています。

  1 リストラ策として人員整理や退職を強要するということが絡むパワハラ
  2 仕事や組織の変化により、コミュニケーションギャップから来るパワハラ
  3 正規・非正規さまざまな雇用形態からなる職場が引きおこすパワハラ
  4 ノルマ強化などの労働強化からくるパワハラ
  5 能力主義、成果主義のような従業員間の競争の激化から来るパワハラ
  6 女性の職場進出に絡むパワハラ

 ひとつも関係ないという会社はないのではないでしょうか。

■ パワハラがもたらす損失+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 パワハラがどんな損失を与えるか、興味深い調査があります。

  1 心の健康を害する(82.8%)      2 職場の風土を悪くする(79.9%)
  3 周りの士気が低下する(69.9%)    4 生産性が低下する(66.5%)
  5 十分に能力が発揮できない(59.3%)  6 優秀な人材が流出する(48.3%)
(中央労働災害防止協会【パワー・ハラスメントの実態に関する調査研究報告書 2005年8月】)

 パワハラは被害者自身の身体、心の健康をむしばむだけでなく、生産性の低下、優秀な人材の流出も引き起こすのです。

■ パワハラは個人的な問題ではない+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 パワハラは個人的な問題で、会社が関与することではないとする考え方が従来はありました。
 しかし、パワハラの背景、パワハラ相談の激増、会社にもたらす損失をよく知り、労務管理上の問題として、会社はきちんと取り組む必要があります。パワハラは相手に対する人権侵害であるということをふまえ、パワハラのおきない職場作りを進める必要があります。

■ 労災になるかならないかの判断基準+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
 労働者が,パワハラが原因でうつ病になり自殺した場合など、【業務上】と認定されれば、労災保険法が適用され、保険給付と労働福祉事業の保護が受けられます。業務による心理的負荷が社会通念上精神障害を発症させる程度に荷重であれば【業務上】となります。

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 パワハラを未然に防ぐには、管理職研修は欠かせません。
 管理職研修は小野本事務所におまかせください。

           電話:025-268-6120/FAX:025-268-6130 
             メール: info@sr-onomoto.jp
 
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