お知らせ
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作成日:2015/04/14
★ フレックス制をきちんと知っていますか ★



「フレックスタイム制の従業員には残業代を支払わなくてよい」
こんなふうに思われている方はいらっしゃいませんか。

 フレックスタイム制は何時に出社するか、何時に退社するかについては自由
な働き方ですが、フレックスタイム制を導入すれば、残業代が要らないという
わけではありません。


■ 重要ポイント ──────────────────────────

 フレックスタイム制は、始業時刻・終業時刻については本人の裁量があるが、
労働時間の管理はしなければならない。

 1カ月の総枠の労働時間を超えた場合は、残業代の支払が必要となる。


■ フレックスタイム制とはどういうものか──────────────────
  
 フレックスタイム制とは、一定期間(清算期間という、通常は1カ月)の総労
労働時間を定めておき、その範囲で、始業時刻、終業時刻を本人の判断にゆだね
る制度のことです。


■ コアタイムをもうけることが多い─────────────────────
 
 一般的なフレックスタイム制は、打ち合わせなどに充てる時間として必ず勤
務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社しても、
また、いつ退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)をもうけています。

 たとえば標準的な勤務者が9時始業で、18時終業の場合、フレキシブルタ
イムを朝は8時から10時、夕方は15時から21時とし、コアタイムを10
時から15時とします(1日の実働が6時間を超える場合に与えるべき休憩時間
はコアタイムの中で一斉に、例えば12時〜13時とすれば良いでしょう)。


■ 導入するために必要なこと────────────────────────

 フレックスタイム制を導入するには、まず、就業規則で始業及び終業の時刻を
労働者の決定にゆだねることを定めます。

 さらに労使協定を結び、次のことを定めます。
(1) 対象となる労働者の範囲
(2) 清算期間
(3) 清算期間における起算日
(4) 清算期間における総労働時間
(5) 標準となる1日の労働時間
(6) コアタイム
(7) フレキシブルタイム


■ 総労働時間の決め方──────────────────────────
 
 1日の標準労働時間が8時間で、1カ月の所定労働日が20日であれば、総労
働時間は160時間となります。

 1日の実労働時間が9時間であっても、それだけでは残業とはなりません。残
業の有無を確定するために、清算期間の実労働時間を集計して下さい。

 仮に、6月(30日の月)で189時間働いていたとすると、所定より29時間
オーバーしていますが、法定労働時間の上限は、30日の月の場合171時間25
分ですから、17時間35分については法定外労働時間となり、割増賃金の支払い
が必要です。

 始業・終業時刻は労働者の事由に委ねても、賃金の適正な支払いのために、1日
何時間働いたのか、労働時間を把握しておかなければならないのがフレックスタイ
ム制なのです。


■ 36協定はどうするのか─────────────────────────

 フレックスタイム制を採用しても時間外労働があるのであれば、時間外労働の
協定は必要です。延長することができる時間の欄の1日あたりについては協定
の必要がありません。清算期間の延長時間と1年間の延長時間を協定します。


■ 深夜労働になったら──────────────────────────

 フレックスタイム制の従業員の労働が深夜になった場合は、その時間について
深夜労働割増賃金の支払いは必要です。


■ フレックスタイム制が向かない職種────────────────────

 フレックスタイム制の従業員は、自分で始業時刻、終業時刻を決めるのですか
ら、チームで働く職場では適しません。

「明日会議があるから定時に出勤して来い」と、フレックスタイム制の従業員
に命じることはできないからです。


■ フレックスタイム制の拡充────────────────────────

 平成28年4月1日改正予定の労働基準法では、フレックスタイム制が見直さ
れます。

 清算期間の上限を3カ月にし、より柔軟な働き方を認めようというのです。

 一方、過重労働を制限する意図から、1週50時間を超える労働時間については
割増賃金を支払わなければならなくなります。
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