作成日:2014/12/15
★ うつ病自殺はパワハラをした会社に責任 ★
高校を卒業して4月に入社、同年の12月にうつ状態となり自殺という痛ま
しい事件の判決がありました。いったいどういう事件だったのでしょう。
■ 重要ポイント ──────────────────────────
人格を否定する発言を執拗に繰り返すような上司の指導は、部下をメンタル
疾患に追い込んでしまう。
労災認定され、裁判で会社も上司も責任を問われる。
■ 事件の概要 ───────────────────────
福井市の消火器販売会社に勤めていた男性社員(当時19歳)が、うつ状態と
なり、自殺しました。男性は高校卒業後の4月に正社員として入社、自殺はその
年の12月のことでした。
男性の父親が会社と当時の上司2人に対し、慰謝料など計1億1千万円の損害賠
賠償を求めた訴訟の判決で、福井地裁は11月28日、計約7200万円の支払いを命
じました。
未成年へのパワハラ訴訟で自殺との因果関係が認定されるのは全国初のことで
す。
■ 上司の発言 ───────────────────────
上司の具体的な発言は、死亡した男性の手帳に記録されていました。
「嘘を平気でつく」
「死ねばいい」
「辞めればいい」
「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分」
「毎日同じことを言う身にもなれ」
「今日使った無駄な時間を返してくれ」
「いつまでたっても甘々、学生気分はさっさと捨てろ」
■ 暴言と判決 ───────────────────────
上司の暴言について判決は「仕事上のミスに対する叱責の域を超え、男性の人
人格を否定、威迫するもの」と認定しました。
また、「自殺した本人の過失はない」と賠償額の過失相殺もありませんでした。
■ 労災の認定 ───────────────────────
福井労働基準監督署は、自殺の原因はパワハラと労災認定していました。
監督署は労災の請求があった場合、「労災認定基準」に当てはめて判断します。
平成23年12月に精神障害の労災認定基準が改定されています。
部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や
人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われたときは、心
理的負荷が「強」とされます。また、業務以外の心理的負荷、固体側要因がなけ
れば、認定基準は労災と認めるのです。
■ メンタル疾患を生まない職場に────────────────────
不幸な事件が後を絶ちません。
トラブルになる前に、メンタル疾患激増の背景を知り、活き活きした職場に
なる方法をご一緒に考えてみませんか。