作成日:2014/09/16
★ 資格喪失月でも保険証は使えるの? ★
『たとえば、9月29日が退職日で、9月30日が社会保険の喪失日の場合、社会保
険加入月が8月まで、ということになると思いますが、9月1日〜9月29日までに
病院に行き、支払いが発生している場合などは保険適用内になるのでしょうか。
後から9月は喪失月のために請求が来たりはしないのでしょうか。』
こんな質問を受けました。
後から請求が来ては大変ですが、この場合ご心配のようなことはおこりませ
ん。
■ 重要ポイント ───────────────────────────
社会保険は加入期間と保険料納付期間を分けて考えると分かりやすい。
社会保険は入社した日から退職日までが加入期間なので、9月29日退職であれ
ば、9月29日までは、健康保険被保険者証が使える。
保険料は入社した日の属する月分から納め、退職日の翌日が資格喪失日なので、
その前月(資格喪失日の属する月の前の月分)まで負担する。
■ 社会保険に加入する日とは───────────────────────
会社(法人)でフルタイムで働くのであれば、社会保険に加入しなければなり
ません。
但し、従業員が5人未満の個人の事業所などでは社会保険の適用が強制されて
いません。
■ 試用期間は加入しなくてよいか ────────────────────
『試用期間が終わってから社会保険に加入させたい』このようなご相談を受け
ることがありますが、試用期間中であっても常用的使用関係であれば、加入と
なります。
外国籍である、長期にわたって働く予定がないなども除外される理由にはな
りません。
2カ月以内の期間を定めて使用される人には、加入義務がありません。
■ 資格喪失するする日とは ──────────────────────
被保険者の資格は、退職日の翌日に喪失します。
そのほか、以下に該当する日の翌日にも資格を喪失します。
(1) 死亡した日
(2) 雇用形態が変わり、適用除外になった日
(3) 事業所が廃止になった日
(4) 厚生年金保険については70歳に達した日(誕生日の前日)
(5) 健康保険については後期高齢者医療の被保険者となった日(75歳の
誕生日等)
■ 保険料負担はいつからいつまで ───────────────────
4月1日に入社であれば、4月分から保険料を負担します。保険料負担に日割り
計算ということはないので、4月30日に資格取得であっても、4月分の保険料を
負担しなければなりません。
9月29日退職であれば、資格喪失日は翌日の9月30日で、9月は喪失月なので、
保険料負担はなく、8月分までの保険料納付です。
9月30日(月末日)退職であれば、翌日10月1日が喪失日となり、保険料は9月
まで納付です。
月末日以外の退職であれば、退職日の属する月の保険料の負担はありません。
健康保険被保険者証は、保険料を負担しない月であっても退職日まで使えます。
■ 同じ月の間に資格取得して喪失するときは ──────────────
9月1日に入社したのに、9月15日に退職の場合は、月末日に在職していないの
ですから、保険料はかからないのでしょうか。
同じ月に被保険者の資格を取得・喪失した場合は、その月は1カ月分の保険料
を納めます。
■ 4分の3基準 ───────────────────────────
パートタイマーなど働く時間が短い人も、『常用的使用関係』であれば、社会
保険に加入しなければなりません。
労働時間と労働日数で、それぞれ一般社員の4分の3以上であるときには、原則
として被保険者として取り扱うべきとされています。
■ 501人以上の会社は2年後に注意を──────────────────
2016年10月から、パートタイマーへの社会保険適用が拡大されます。
以下の基準をすべて満たす場合、社会保険の被保険者となることが決まってい
ます。
(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(2) 月額賃金88,000円以上(年収106万円)以上であること
(3) 当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること
(4) 常時500人を超える事業所であること
■ まとめ ───────────────────────────
社会保険の加入期間は日単位で、保険料納付は月単位。
実務ではややこしいこともありますが、適切に処理していきたいものです。
算定基礎後、9月分から厚生年金保険料率の改定があります。