お知らせ
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作成日:2014/04/30
★ 有給休暇について正しく知ろう! ★



 そこそこ働いたら年次有給休暇がもらえる、皆さんご存知のことです。

 有給の付与を、毎年4月にしている会社では、直前の3月に入社したばかり
の人にも有給を付与しなければならないのでしょうか。育児休業を取得したと
きの有給はどうなるのでしょう。

 意外と知らない年次有給休暇について考えてみましょう。


■ 重要ポイント───────────────────────────

 年次有給休暇は労働者の大事な権利。

 産休・育児休業も出勤日扱いとなる。

 一斉付与は会社に不利となりやすいので、注意が必要。



■ 年次有給休暇とは──────────────────────────

 年次有給休暇とは働いている人全て(労働者)に与えられる、所定休日のほ
かの一定日数の有給の休暇のことです。心身の疲労の回復、ゆとりある生活が
できるようにという趣旨の休暇です。

 昭和22年の労働基準法制定当時、年次有給休暇は、1年以上継続勤務した
場合で6日でした。法改正を経て、現在は、6カ月間継続勤務した場合に、10
日の有給休暇を付与することが使用者に義務付けられています。


■ 年次有給休暇は労働者の権利!?───────────────────

 1年間(初年度は6カ月)継続勤務し、所定労働日の8割以上の勤務をした場
合、法律上当然に所定日数の年次有給休暇の権利を取得し、使用者はこれを
与える義務を負うもので、労働者の請求を待たずに、生じる権利だとされてい
ます。

 「事業の正常な運営を妨げる場合」には、その時季を変更することができま
すが、使用者にはできる限り労働者が指定した時季に休暇を与えるよう配慮す
ることが求められています。


■ 原則は1日単位だが──────────────────────────

 年次有給休暇の単位は原則1日です。ただし、半日単位の付与も認められて
います。
 さらに、平成20年改正の労基法(平成22年4月1日施行)では、労使協定を結
べば、時間単位での年次有給休暇の付与が認められるようになっています


■ 早退で1時間しか勤務しない日は年休の発生要件の出勤か─────────

 1時間しか働かないような日を年休発生の労働日に含まなければならないの
でしょうか。

 労働日については暦日単位で取り扱われるものとされています。遅刻や早退
でほとんど仕事をしなかったような日も、出勤した日として取り扱うことにな
ります。


■ 育児休業は出勤扱い!─────────────────────────

 産前産後休業、育児介護休業は出勤日とみなされます。8割以上の計算にあ
たっては、労働日にも出勤日にも含まれます。業務上災害による休業も出勤日
とみなされます。
 年次有給休暇取得日も出勤したものとして取り扱います。


■ 通勤災害で休業のとき────────────────────────

 業務災害による休業は出勤日とみなさなければなりませんが、通勤災害につ
いて法律は言及していません。業務上災害の場合は、事業主に被災労働者に対
する補償が求められているのに対し、通勤途上の災害については求められてい
ません。(労災保険は通勤災害にも適用されます)同様に、通勤災害の休業に
ついて年次有給休暇の出勤率の算定に際し、出勤日から除外しても構いません。


■ 入社時3日、入社6ヵ月後に7日の付与はできる?─────────────

 入社したばかりの社員に有給の休暇がないのはかわいそうだし、付与される
半年後にその分減らして付与すれば、労使双方にとって都合がよいのではない
か・・・
 入社のときに3日の年次有給休暇を付与し、半年後に7日付与するという規定
の就業規則を見たことがあります。

 この規定自体は問題ありません。しかし、半年たってからの1年間に10日付与す
ることというのが法律ですから、これを上回る規定でなければなりません。
入社時の付与から1年後には、6カ月繰り上げて11日の年休を付与する必要があり
ます。


■ 4月に一斉付与のときは?──────────────────────

 社員一人ずつ年休の更新時期が違うのは面倒なので・・・という理由で、年
次有給休暇を4月1日を基準日として付与している会社は少なくないようです。
 この場合、法律の付与数を上回らなければなりませんので、十分注意が必要
です。

 規定例

 年次有給休暇は、4月1日を基準日とし、計算期間の1年単位は当年4月1日よ
り翌年3月31日までとして、各従業員の入社時期に応じ、以下とする。

 (1)4月1日以降9月30日までに入社した従業員

 入社後最初に到来する10月1日を勤続6カ月とみなし、翌年4月1日に勤
続1年6カ月とみなし、以下のように付与する。

    6カ月(最初の10月1日)・・・付与日数10
    1年6カ月(翌年4月1日)・・・付与日数11
    2年6カ月(翌々年4月1日)・・・付与日数12
              ( 以下省略 )

 (2)10月1日以降3月31日までに入社した従業員

 入社後最初に到来する4月1日に勤続6カ月とみなし以降勤続年数
応じて付与する。

    6カ月(最初の4月1日)・・・付与日数10
    1年6カ月(翌年4月1日)・・・付与日数11
    2年6カ月(翌々年4月1日)・・・付与日数12
              ( 以下省略 )


■ 一斉付与の問題点───────────────────────────

 長期に勤続する従業員ばかりの会社には4月1日一斉付与は管理しやすいとい
う利点がありますが、数年で退社する従業員の多い会社では、入社したばかり
で10日という数の有給の休暇が付与されてしまう問題があり、お勧めできませ
ん。

 9月30日入社の場合を考えて見ましょう。翌日に6カ月働いていたものとみな
されて10日付与され、入社して半年後の4月にはまた11日の付与です。入社半
年ちょっとで合計21日も年休が付与されてしまいます。(年次有給休暇は翌年
度に限り繰越を認めなければなりません)
 退職のときになって有給休暇を請求され、先付けの退職願を出されることも
少なくないことを考えると、一斉付与は勤続年数の短い従業員の多い会社には
不利であることを知っておくべきでしょう。
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