お知らせ
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作成日:2013/09/17
★ 賃上げをどうする?! ★



 賃上げすると法人税を減税するという【賃上げ減税】が大きく報道されています。

 賃上げする前に考えておくべきことを確認しておきましょう。



■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 賃金(=年収)を上げるには、月給与を上げる方法と、賞与で上げる方法があります。

 月給与を上げる場合には、後から下げることが困難であることに注意が必要です。

 賃金アップは社会保険料アップを伴うことにも注意が必要です。


■ 5%アップとは+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 月給与30万、年間賞与60万だとすると年収は420万円です。

 賃上げ減税もあることだし、この方の年収を5%上げたとすると、441万円です。

 賞与はそのまま60万円にして、月給与を317,500円にすると、年収441万円です。

 月給与は30万円のままで、賞与を81万円にしても年収は441万円です。


■ 月給与を上げる場合+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 月給与を17,500円に上げれば、従業員に喜ばれること間違いなしですが、月給与(基本給)を上げてしまうと、将来会社業績が悪くなったときに、下げにくいということに気をつけなければなりません。

 基本給に入れないで、特別手当などとして月の給与をアップすればよいのではと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、固定的に支払われる月給与を後になって減らすことは困難です。

 また残業があるのであれば、アップした17,500円を残業代の計算基礎にも入れなければなりません。


■ 月給与を上げると社会保険料が1ランク上がる+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 30万円が317,500円になると、社会保険料も1ランク上がります。

 2等級は上がりませんので、月額変更届にはなりませんが、いずれ毎月の社会保険料が上がることも考慮しておくべきです。


■ 賞与を上げる場合+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 月給与は据え置いて、年間賞与を上げることで5%賃上げを行うとしましょう。

 賞与は予め支払額の確定していない賃金で、会社業績や従業員本人の会社への貢献度などを反映させて支給すればよいものです。

 将来会社業績が悪くなったりした場合、賞与を下げることは月給与を下げるより容易です。また、残業代の単価が上がるということもありません。


■ 賃金アップと社会保険料+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 平成25年9月現在の新潟県の健康保険の料率は、11.45%(介護保険該当者の場合)です。厚生年金保険の料率は17.12%です。両者を足して折半すると14.285%となります。

 今回のケースで年収21万円上がるということは、約3万円の社会保険の負担が増すということです(21万円に14.285%を掛けると29,998円)。

 月給与が増えるという方法でも賞与が増えるという方法でも、21万円の賃金アップは3万円の社会保険料負担を伴うということを考慮しなければなりません。

 賃金増額の21万円は使えるお金が増えるのではなく、3万円の負担も伴うものなのです。


■ 賞与と社会保険料+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 賞与を支払った場合、賞与額に社会保険料率をかけて社会保険料を算出しますが、賞与の保険料には、上限があります。

 賞与の上限は健康保険が年間540万円、厚生年金保険は月間150万円です。

 賞与額がこの上限を超えても社会保険料はこれ以上にはなりませんから、賞与の多い会社で、賞与で賃上げをすると、月給与で賃上げをするよりも社会保険料負担が減ることが考えられます。


■ 賃上げには社会保険料アップが伴う+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 会社が赤字であっても、従業員がいれば社会保険料はかかります。

 厚生年金保険料は平成29年まで0.354%ずつ上がり続けることが決まっています。健康保険も大変厳しい財政状況です。

 政府は、2%や3%の賃上げでも減税対象とすることを考えているようです。

 賃上げは大変結構ですが、社会保険料を考えてから、月給与で上げるのか賞与で上げるのかよく考えてから行う必要があるようです。


★注意

【賃上げを促す法人税減税について】 (2013年9月13日日本経済新聞より)

 賃上げを促す法人減税は13〜15年度の時限措置として創設した。
  (1)  国内の雇用者にし習った賃金総額が基準年度より5%以上増えた
  (2)  給与総額が前年度を下回らない
  (3)  雇用者一人当たりの平均給与が前年度を下回らない
という条件を満たせば、給与総額の増加分の10%(中小企業は20%)を税額控除できる。


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