作成日:2013/03/17
★ 継続雇用の労使協定はありますか? ★
「定年は60歳とし、定年に達した日の属する賃金締切日を持って退職とする。
但し、別途定める労使協定の定める基準に該当する者については再雇用する。」
という就業規則を拝見しました。
「法改正がありますので、労使協定を確認しましょう。協定はどうなってい
ますか。」
「労使協定???」
あなたの会社は大丈夫ですか。
まずは、本日の結論から ★多忙な方はここをチェック★★↓↓
■ 重要ポイント+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
継続雇用の基準を定める労使協定を結ぶなら、平成25年3月31日までに。
まだ、という会社はお急ぎください。
■ 原則と例外 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
平成18年に高年齢者雇用安定法の改正がありました。
希望者全員の65歳までの雇用確保措置をとることが義務となりました。
原則は希望者全員の再雇用ですが、例外的に労使協定で対象者についての基準
を定め、限定することができました。
■ 労使協定の届出 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
労使協定で対象者についての基準を定めた場合、その労使協定は労働基準監
督署への届出を求められていません。
前任の労務担当者が退職した、書類の保管が悪かった・・・など理由はさま
ざまでしょうけれど、就業規則に「労使協定で定める」となっているのに、労
使協定がないでは困ります。
■ 今回の法改正と労使協定 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
平成25年4月1日施行の改正法は 労使協定で継続雇用制度の対象者を限定でき
るという仕組みが廃止されます。
つまり労使協定が使えなくなるのです。
ややこしいのはこの次です。
ただし、経過措置があって、一定の年齢以上の者に対して 「労使協定で基
準」を適用することができます。
改正法は無収入、無年金の人を出さないことなので、厚生年金の報酬比例部
分の支給開始年齢以上の人については基準を適用することができるのです。
■ 労使協定を結ぶなら3月31日までに! +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
せっかく法律で経過措置を設けて「限定できる」ことが認められているので
すから、労使協定を現在結んでいる会社は、経過措置を織り込んで内容を修正
した労使協定を残すべきでしょう。
基準を就業規則で定めていて労使協定がない会社は、平成25年3月31日まで
に労使協定を結ばなければなりません。急ぎましょう!
経過措置を受けるには、法改正の日(平成25年4月1日)、すでに労使協定に
より基準を定めていなければならないからです。
■ 労使協定をやめるなら +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
生年月日で雇わなければならない年齢が変わるというこの経過措置、ややこ
しく、管理が大変です。しっかりした労務管理ができないのであれば、この際
労使協定を廃止して、就業規則を「希望者全員を65歳まで継続雇用する」に変
更するという選択肢もあります。
■ 労使協定の意味 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
労使協定の締結は、労使自治のためにとても大切なことです。
会社と労働者の過半数を代表する者との間で結ぶ、書面の協定です。会社が
一方的に作成することはできません。
労使協定の代表的なものに時間外労働・休日労働を認めてもらう協定(36協
定)がありますが、この労使協定は労働基準監督署に届け出なければなりませ
ん。
継続雇用の労使協定は、届出義務はありません。
ただ、社内的には大事な約束事です。経過措置を利用して労使協定で基準を
定めるというのであれば、過半数代表者の選出方法なども明らかにして、内容
を吟味したうえで、結んでおきましょう。