雇用保険の基本手当は毎年この時期に見直されます。
統計で賃金ダウンが確認されると、思わぬところに影響が出ます。
まずは、本日の結論から ★多忙な方はここをチェック★★↓↓
■ 重要ポイント +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
雇用保険の基本手当の日額の上限金額がまたダウンしました。
雇用保険の基本手当の上限額が下がると、雇用調整助成金の上限額も下がります。
助成金をもらっている会社は助成額ダウンにご注意を。
雇用保険の基本手当(求職者給付)の日額の算定基礎となる賃金日額の範囲等は、雇用保険法のきまりで、毎月勤労統計の平均定期給与額の上昇または低下した比率に応じて、毎年変更され、賃金の統計調査の数字に連動して、上がったり、下がったりします。
今回、毎月勤労統計の平成21年度の平均給与額(同年度の各月における平均定期給与額の平均額)が、平成20年度の平均給与額と比べて約2.3%低下したため、以下の3点の変更が本年8月1日から適用されています。
1.基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額の範囲等の引下げ
基本手当ての上限は年齢に応じて上限が違います。
最高額は、離職の日の年齢に応じて次のとおりです。
60歳以上65歳未満:6,700円→6,543円 45歳以上60歳未満:7,685円→7,505円
30歳以上45歳未満:6,990円→6,825円 30歳未満 :6,290円→6,145円
(※最低額は 1,640円 →1,600円)
2.基本手当の減額の算定に係る控除額の引下げ
失業期間中に自己の労働による収入がある場合には、現行の1,326円が改定後は1,295円に
3.高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額の引下げ
現行の335,316円が改定後は327,486円に
■ 雇用調整助成金の助成額も下がる+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金の助成額は、「1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度」とされています。
今回の変更で7,505円へ引き下げられます。
ちなみに昨年も7,730円から7,685円に変更されました。過去を遡ってみると平成18年以降5年連続の引き下げとなっています。
この助成金をもらっているなら助成額が下がってしまいます。
2004年(平成16)には7,935円だった基本手当の最高額ですが、以下のように変わってきています。
2005(平成17)7,780円 2006(平成18)7,810円 2007(平成19)7,775円
2008(平成20)7,730円 2009(平成21)7,685円 2010(平成22)7,505円
「基本手当はいくらもらえるの?」
「退職前賃金を6ヵ月間合計して180で割った額の50%から80%(給料が高ければ50%程度、そうでなければ80%に近い金額)です。
全体としてはもっともな考え方で算出される手当ですが、全体の水準については疑問です。
失業したとき、「雇用保険の給付の最高額が7,505円」とは1カ月22万円チョットということです。扶養家族がいる50歳台の方なら大変厳しい金額です)。
賃金の統計データにより自動的に改定されるしくみとはいえ、基本手当の日額は低いといわざるをえません。
多くの方は何年間もまじめに雇用保険を負担しています。会社も相応の負担をしています。この4月から料率はアップし負担は増しているのに、給付は下がっているのです。
大事なセーフティーネットなのです。離職したときに安心できる給付水準であってほしいものです。