お知らせ
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作成日:2013/01/01
★ 健康診断は必ず! ★



 お正月、健康のありがたさをかみしめる時でもあります。


「健診受けないと賞与15%減」

コンビニエンスストア大手ローソンが、健康診断を受けない従業員の賞与を15
%減額する制度を導入すると報道されました。
                 (2012年12月24日新聞各社)

ちょっとドキっとするこの制度、果たしてどんな意味があるのでしょう。

■ 重要ポイント+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 健康診断を従業員は受ける義務がある。

 賞与をどう払うかについては事業主に裁量があるが、今回のローソンのケース
では、健診を受けることを通知し、それでも受けないと賞与を減額するという
経過を追った措置にしている。


■ ローソンの賞与減額の詳細+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 ローソンは2013年度から、定期健康診断を受診しなかった従業員の賞与につ
いて、15%減額する。直属の上司の賞与も10%減額する。

 毎年春に健康診断を実施しているが、13年度上期(13年3〜8月)に健診を
受けなかった従業員に下期(同9〜14年2月)に3回程度、健診を受けるように
通知をする。それでも受けないと14年度上期の賞与を減らす。

 2011年度の健康診断の受診者は83%にとどまっているが、受診率を上げて、
健康を害して仕事を続けられなくなるケースを減らすことが目的。

(新聞報道等からのまとめ)


■ 健康診断は実施する義務がある+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 多くの会社では毎年一定の時期に、当たり前のこととして定期健康診断を実
施していると思います。
 定期健康診断は労働安全衛生法という法律で、実施が義務付けられているの
です。

健康な状態であるかを確認する、あるいは病気の予防、早期発見するために行
うのが、健康診断です。会社は健康診断により、従業員の健康を把握・管理し
た上で働いてもらうのです。実施後、健康診断の結果は従業員に通知しなけれ
ばなりません。

もし、健康診断で異常の所見があった場合には、そのまま同じように勤務させ
て良いのか、業務に制限を加える必要があるのか、休業をさせる必要があるの
か、医師の意見を聞かなければなりません。

健康診断の実施は従業員に健康な状態で働いてもらうために、事業主に課せら
れている重要な事柄です。必ず実施ですから、「私はお金がないので検診でき
ません」ということがあってはならず、健康診断の費用は事業主が負担しなけ
ればなりません。

定期健康診断を行わないと、事業主に罰則が課されてしまいます。


■ 健康診断の受診義務+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 従業員は会社が実施する健康診断を受けなければなりません。

 「健診を受けない従業員がいるのだが・・・」
 そんな問い合わせには、「健康診断は法令で定められているもので、会社が
費用を負担し、実施している。働いている以上、義務として受けなければなら
ないものだとお伝えしてください」と申し上げています。

「受けたくない」という人には、会社が行う健診の意味をしっかりと伝えて受
けてもらいましょう。

 会社のキマリですから、就業規則には 定期健康診断は必ず受診するように
規定しておくことも重要です。さらに、健診を受けない場合には懲戒処分もあ
ると規定しておくこともできます。


■ 健診はパートにも?+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 コンビニエンスストアでは、パート社員も多いと思います。

 健康診断は常時使用する労働者について行わなければならず、以下であれば、
パートやアルバイト社員にも行わなければなりません。

1 フルタイムの従業員の4分の3以上の労働時間で働く人

2 有期雇用であっても1年以上の雇用が見込まれる人


■ 上司まで減らすという意味は+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 今回の報道では健康診断を受けなかった場合、従業員本人のみならず、直属
の上司まで10%減額とするということも注目されます。

 部下の管理・監督は上司の仕事ですが、部下の健康に配慮することも上司の
仕事だと嫌でも知らされることになりそうです。


■ 減額する手続き+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 賞与を減額するという厳しい制度が導入されるわけですから、あらかじめき
ちんと知らせてからということが重要です。

 今回は「13年度上期(13年3〜8月)に健診を受けなかった従業員に下期
(同9〜14年2月)に3回程度、健診を受けるように通知をする。それでも受け
ないと14年度上期の賞与を減らす。」 というものですから、手続きとして妥
当だと思います。

 このような記事を読んで、こんなふうに賞与減額ができるのだと、イキナリ
安易に真似ることは避けなければなりません。

■ 賞与を減らすという意味+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 賞与の減額という思い切った制度で、健康管理をきちんとしてもらおうとい
う今回の措置ですが、減額する時には注意が必要です。

 制裁として減額をする場合には労働基準法で制限があります。

 「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減
給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における
賃金の総額の10分の1を超えてはならない(労基法第91条」」

 賞与からの減給による制裁について以下のような通達もあります。

 「制裁として賞与から減額することが明らかな場合は、賞与も賃金であり、
法第91条の減給の制裁に該当する。したがって賞与から減額する場合も1回の
事由については平均賃金の2分の1を超え、また、一賃金支払期における賃金、
すなわち賞与の額の10分の1を超えてはならないことになる。」
(昭和63.3.14 基発150号)

 ただし、勤務評価によって賞与の額を決定することは可能で、この場合には
「減給の制裁」に該当しません。法律が減給の制限をしている理由は、労働の
結果一旦発生した賃金債権を減額することは、その額が多額になると労働者の
生活を脅かすおそれがあるからです。


■ あとがき+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 健診の意味を考えさせられるローソンのニュース。

 健診 に無関心な従業員が多い会社では、参考になるのではないでしょうか。
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社労士法人アイビーウィル
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新潟県新潟市中央区神道寺南2-7-43
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