お知らせ
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作成日:2012/12/17
★ ご存知ですか?雇用保険の給付金 ★



 勤続45年、一つの会社を勤め上げ、まもなく60歳の定年という方にお会いしま
した。
 今の若い方には考えられないでしょう、中学を卒業してすぐこの会社に就職
し、ほとんど病気欠勤もなく45年です。

 マラソンがお好きで、各地の大会にも参加しているというその方は、45年間雇
用保険をかけ続けていました。
「60歳以降も働きたい、給料にはこだわらない」とご本人。会社も「ぜひ続け
て働いて欲しい」という方です。

 60歳以降、継続して働いていて、賃金が下がると、雇用保険から高年齢雇用継
続給付金というお金が本人に支給されます。

 5年以上雇用保険に加入していることが条件です。
 この方の場合、45年も加入していたのですから、5年の人の9倍もらえても良さ
そう??
 残念ながらそういう仕組みはありません。
 一体どんなときにいくらもらえるお金なのでしょう。


■ 重要ポイント+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 本格的65歳雇用が目前。

 雇用保険の給付金も視野に入れて賃金を決めるという方法もあります。

    雇用安定法の改正 関連記事はここをクリック
                 http://m.mkmail.jp/l/i/nk/4dlltx8jzo5k
    


■ 高年齢雇用継続給付金を受けるためには+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 この給付金を受けるためには、従業員が以下に当てはまらなければなりませ
ん。

  1 60歳以上65歳未満で雇用保険に加入していること

  2 雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あること

  3 60歳の賃金と比べて賃金が75%未満に下がっていること


■ 5年には他社で働いていた期間も含むことができる

 57歳で転職してきた方がいるとします。

 60歳になったときその会社での被保険者期間は5年になりませんが、前職を1
年以内に離職しての転職で、雇用保険の失業給付などを受けていなければ、前
職の雇用保険の期間を通算することができます。

 ですから50歳代後半で雇用した人については、60歳が近くなったら要件を満
たしているかどうか、確認しましょう。もし5年を満たしていなければ、5年の
要件を満たす予定日を確認しておきましょう。


■ 60歳の時の賃金は+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 60歳の前6カ月の賃金(支給総額)の平均を60歳到達時賃金といいます。
賞与は含みません。

 この60歳到達時賃金月額は上限があり、450,600円です。


■ いくらもらえるのか+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 60歳を過ぎて支払われる賃金額が60歳到達時賃金月額の61%未満の場合、支給額は各暦日の賃金額の15%です。

 各暦日に支払われる賃金額が60歳の賃金月額の61%以上75%未満の場合、支給額は低下率に応じて15%を上限として一定の算式で決定された支給率をかけて算出されます。

 残業があった場合は残業代を支払わなければなりませんので、約束の賃金が上がります。また、欠勤があれば賃金は減額されるでしょうから、賃金は下がり
ます。

 60歳以降の各暦日の賃金の変動に応じて、給付金も変わるのです。


■ 毎月4万円以上もらえることもある +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 45万円の賃金をもらっていた人が、27万円に賃金が下がるとすると、60%の
減額率ですから、27万円に15%を掛けて40,500円の給付金がもらえます。

 60歳の時の6割(正確には61%)の賃金としたとき、この給付金が一番多
くもらえることになります。

 6割という減額は厳しいようですが、60歳賃金を35万円と仮定すると

   262,500円 に減額なら給付金はゼロですが、

   255,000円 に下がると     4,573円、
   245,000円 に下がると    11,441円、
   210,000円に下がると給付金 31,500円   がもらえます。

税金も社会保険もかからないお金であることも魅力でしょう。


■ 給付金をもらうと年金の減額があることも+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 賃金の減額があった場合に給付される高年齢雇用継続給付金ですが、60歳か
ら年金を受けていると、年金の一部が減額されることがあります。(ややこし
くわかりにくい制度です)

 2013年4月2日以降に60歳になる方(男性)から年金の受給開始年齢が、61歳以降に先送りされていきます。

 今までは賃金と年金とこの給付金の3本立てで生活だった多くのサラリーマ
ン、来年度からは賃金と高年齢雇用継続給付金(年金は無し)の2本立てで生
活する人が増えることが予想されます。

 この給付金の役割がより重要になってくることでしょう。


■ この助成金をうまくもらうことだけを考えると+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 助成金の要件から、このお金を多くもらうことだけを考えると、60歳前6カ
月は賃金が高いほうが良いので、積極的に休日出勤や残業をしていただくとか、
賞与を減らしてでも月齢賃金に上乗せするなどの対策(?)が考えられます。

 そして60歳過ぎたら賃金は60歳到達時点の6割に固定して

 「残業はしないさせない」

 ということになります。


■ あとがき+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

 若々しく高年齢者と呼ぶにはふさわしくない方を前に、この高年齢雇用継続
給付金と年金の仕組みの話をさせていただきました。

 65歳までの本格的雇用が企業に強いられようとしています。

 この給付金のしくみ、経営者の方も今一度確認しておいていただきたいと思
います。
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社労士法人アイビーウィル
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